992平方キロ。本州一の面積を誇る町で、山あいに暮らす被災者の見守りを「データベース」が支えた。
岩手県岩泉町は2016年8月の台風10号豪雨で河川の氾濫が相次ぎ、住宅944戸が全半壊した。町が生活再建支援で活用したのが、県の「被災者台帳システム」だった。
システムは東日本大震災を機に県が整備し、12年度から稼働している。氏名や住所、住宅被害、被災者生活再建支援金の支給状況などのデータを集約した被災者台帳を作成。関係部署で共有し、支援の漏れを防ぐ。
町は社会福祉協議会やNPO法人と連携して台帳を基に被災820世帯を分担し、仮設を含めた住宅訪問と相談活動を重ねた。
「支援金が未申請なら声を掛け、健康不安がある高齢者にも必要な対応が取れた」。町住宅対策室の熊谷誠室長(47)が振り返る。
震災では被災自治体の行政機能がまひしたり、大幅に低下したりして膨大な被災者情報の管理が困難を極めた。県は京大や新潟大の研究者の協力を受け、県庁のサーバーと自治体をネットワークで結ぶシステムを構築した。
15年度に罹災(りさい)証明の交付機能などを拡充して運用を本格化。33市町村のうち32市町村が利用できる。県復興くらし再建課は「全県的に統一されたシステムのため、大規模災害時には他市町村からの応援職員もスムーズな操作が可能だ」と利点を説明する。
被災者台帳は13年の災害対策基本法改正で制度化され、国が市町村に作成を促した。「被災者カルテ」とも呼ばれる。
迅速な被災者支援に生かすには平時のシステム導入が鍵を握る。ただ全国1741市区町村のうち、20年3月末時点で導入済みは597市区町村(34・3%)にとどまる。費用に加え、理解不足が背景にある。
内閣府は約7億5000万円を投じ、全国の自治体が共同利用できるシステムの基盤開発に乗り出した。普及が期待される一方、台帳を行政以外に情報提供するには「本人の同意」が原則必要で、民間の支援者にとって大きな壁になっている。
日弁連災害復興支援委員長の津久井進弁護士(52)=兵庫県弁護士会=は「台帳の方向性は正しいが、支援漏れや二重支給をチェックする『行政目線』の側面が強い。何に困っているか、どんなニーズがあるかを被災者と支援者が共有できる仕組みが必要だ」と問題提起する。
活用を提案するのが、自身も監修に携わった日弁連の冊子「被災者生活再建ノート」だ。18年7月の西日本豪雨などの被災地で弁護士会が広めている。
被災者自身が家族の人的被害や住宅の損壊、仕事の状況を書き込み、該当する支援制度を確認できる。弁護士ら支援者がノートを見れば、抱える悩みは一目瞭然。相談と助言の内容も書き残せる。
「多分野の専門職が関わり、支援の輪を広げることができる。被災者も現状を冷静に見詰め、人生の再設計に向き合える」と津久井さんは意義を強調する。
取りこぼしのない支援を目指す台帳、伴走型支援を体現するノート。双方の特長を生かすことで被災者支援の土台は厚みを増す。
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