「官学民」で空き家解消 売却や賃貸仲介、開業プロデュースも

法人が仲介した空き店舗で新規出店した「harappa」

 山形県上山市の空き家対策に取り組むNPO法人「かみのやまランドバンク」が着実に成果を上げている。2019年の設立以来、中心市街地の空き家の売却や賃貸を仲介し、空き店舗での新規開業もプロデュースした。かつての城下町に活気を生もうと、新たなまちづくりを進めている。

 法人は市や市商工会、山形県宅地建物取引業協会、全国で唯一の不動産学部を持つ明海大(千葉県浦安市)などの官学民により設立。市と連携し、空き家バンク、住み替えバンク、ランド(空き地)バンクの3部門を主な事業に掲げる。

 空き家バンクへの登録は3月現在で95件あり、うち約半数の46件で売却、賃貸契約が済んだ。今月2日にはJRかみのやま温泉駅前で空き店舗を使ったそば店兼カフェ「harappa(はらっぱ)」が開業。改装作業への協力を地元学生に呼び掛けるなど支援も行った。

 住み替えバンクは、転居を考えて住宅を売却したい1人暮らしの高齢者と、市中心部への転入を望む子育て世帯をマッチングする。3月現在の登録は5件で、うち2件が成約済みとなった。空き家の発生を未然に防ぐ取り組みで、高齢者施設と連携した相談会を開くほか、高齢者に施設入所時のバンク登録を促している。

 ランドバンクは複数の空き家や空き地を一体的に整備する事業。空き地の芝張りによる広場化やマルシェ開催に取り組んだ。解体中の映画館の土地への、地元住民や学生の意見を交えた交流拠点新設も検討している。

 市の17年度調査によると、市内の空き家は373戸。この4分の1が城下町特有の狭い道路や坂道が多い市中心部に集中する。少子高齢化や跡継ぎ不足などで空き家は増加傾向にあるという。

 法人の渡辺秀賢理事長(46)は「行政と民間がうまく連携を取りながら、若い世代が『上山は面白い』と思ってもらえるまちづくりができれば」と語る。

 3月に市の都市再生推進法人に指定され、まちづくりの担い手として公的な位置付けを得た。「10年単位の長いスパンでまちづくりを考えていきたい。幅広い年代が集まる法人に育て、『この街をどうにかしたい』という思いが次代につながっていけばいい」と先を見据える。

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