<NPOの杜>障害者の自己表現支援  一般社団法人 アート・インクルージョン

Aiの門脇さん(左)と、「無観客ライブ」出演者のスタッフたち=5月初旬、仙台市青葉区のスタジオ

 地域で活動するNPOにも、収束の見通しが立たない新型コロナウイルス禍がじわじわと影響を与えています。アートを通じた障害者支援とまちづくりの取り組みを行う一般社団法人アート・インクルージョン(Ai、仙台市)理事の門脇篤さんに、コロナ下の活動についてお聞きしました。

 Aiは2010年の発足以来、障害者のアートによる自己表現を支援し、ワークショップやイベントなどを通した交流の場づくりを精力的に行ってきました。

 13年には障害者や難病の方の就労を支援する就労継続支援事業B型「アート・インクルージョン・ファクトリー」を開設。17年に青葉区一番町へ移転し「Ai STUDIO、Ai GYALLERY」を新設するなど、多様な創作活動と交流を生み出し続けています。

 「福祉」のイメージが強いAiですが、本来の目的はアートを通して「インクルーシブ(包括的)社会」をつくること。地域には障害者のみならず、外国人、ホームレス、子どもら何らかの生きづらさを抱え生活する人々、マイノリティーがいます。アーティストでもある門脇さんは「自分もマイノリティー的側面を持っている」と話します。

 かつては画家として自身の表現をより深めようと追求していましたが、ある企画で、創る人と見る人の線引きをせず一緒に創る「インクルーシブ」な体験をし、その楽しさに目覚めたそうです。「多様な個人が多様なみんなと出会うことで影響され合い、面白いこと、新しいことが生まれ、変化が起こる」と言います。

 コロナ禍でスタッフ(利用者)の活動は、通所が週5日から週1、2日に制限される一方、リモートでの作業は増えています。街の人との出会いや関わりは少なくなりましたが、「週末スタジオ」「無観客ライブ」を月1回実施するなど、むしろ自己表現の機会は増えていると言います。

 最初は「上手にやらなければ」「失敗してはいけない」という思いを持つスタッフも、徐々に自由な表現をするようになります。「これでいいんだ」と思わせてくれる何かとの出会いが大事で、「そうした場があることは、人が生きていく上でとても大切なこと」だと門脇さんは言います。

 無観客ライブに出演するため集まったスタッフに「コロナになってどうですか」と尋ねると、「たいへんです!」と元気に口をそろえます。自由な自己表現の楽しさと喜びを知っているスタッフたちは、その楽しさをもっと他者に伝えたいという、あふれ出る思いを抱えています。

 その思いを門脇さんらパートナーと呼ばれる職員が受け止めて支え、社会とのつながりを切らない取り組みを試行錯誤の中で創っています。コロナ禍の不安定な状況の中でも、力を合わせ活路を見いだしていくAiの皆さんの強さと明るさの源を学びました。
(認定NPO法人杜の伝言板ゆるる 真壁さおり)

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 一般社団法人アート・インクルージョンのホームページはhttps://art-in.org/index.html
 連絡先は022(797)3672。電子メールアドレスはoffice@art-in.org

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