建設石綿訴訟「国・企業に責任」 東北の関係者

最高裁判決を受けて記者会見する元労働者の男性(中央)ら

 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い、肺がんや中皮腫などの病気になった元労働者と遺族が、国と建材メーカーに損害賠償を求めた4件の集団訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は17日、「国が規制を怠ったのは違法だ」と賠償責任を認めた。メーカーの責任は、被害者の作業内容や従事期間などを踏まえ、個別に審理する必要があるとした上で一部を認めた。全国で約1200人が争う「建設アスベスト訴訟」で初の統一判断で、裁判官5人全員一致の結論。

 仙台地裁で係争中の東北訴訟の関係者からは判決を歓迎する声が上がった。

 「こんなにうれしいことはない。ずいぶんと苦労した」。作業中に石綿を吸い、2010年に肺がんを発症した仙台市宮城野区の男性(78)は判決を喜ぶ。

 男性は中小企業の従業員や「一人親方」と呼ばれる個人事業主として建設作業に従事。職場を転々としたため労使関係の確認が難しく、労災申請から認定まで5年近くを要した。体調は年々悪くなり、数十メートル歩くだけで息切れする。「何千人もいるであろう被害者に明るい光が差した」と語った。

 「これから救われる人が少しずつ出てくるよ」。10年前に夫=当時(56)=を中皮腫で失った花巻市の女性(62)は、天国の夫に報告したという。

 東北では宮城野区の男性を含む青森、岩手、宮城、山形4県の元労働者と遺族ら計10人が昨年8月、仙台地裁に損害賠償を求めて提訴し、審理が続く。最高裁判決を受け、国やメーカーと和解する可能性も見えてきた。

 石綿被害は発症までの期間が数十年に及ぶ。労働者が死亡したり、未発症のまま過ごしたりしているケースもあり、裁判を起こしたのは一部にすぎない。東北訴訟の弁護団は「出稼ぎ労働者の多い東北にこそ潜在的被害者がいる」と強調する。

 元労働者らと仙台市内で会見した弁護団の小野寺義象弁護士は「被害者は高齢化している。国だけでなくメーカーも一緒になって基金を創設し、裁判をしなくても救済できる制度作りが必要だ」と訴えた。

 建設アスベスト訴訟全国連絡会は19~21日、全国一斉電話相談を実施する。連絡先は(0120)110745。

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