青葉区限定は「折衷案」 宮城知事と仙台市長、時短延長で攻防

村井嘉浩宮城県知事 郡和子仙台市長

 宮城県と仙台市は28日、市内の酒類提供の飲食店に対する時短営業要請を青葉区に限り2週間延長し、他の4区は31日で解除すると決めた。経済回復のため、全面解除さえも頭にあった村井嘉浩知事。新型コロナウイルス感染の再拡大を恐れ、市全域の時短継続を強く迫った郡和子市長。両トップが激しい攻防の末に着地点を探った結果が、エリアを絞り閉店時刻を午後9時に繰り下げる「折衷案」だった。

経済に配慮、全面解除も選択肢

 「市長はかなり粘りました」。28日の共同記者会見で、村井知事は郡市長と直前まで激しく議論したことを明かした。一応の結論を見たはずだったが、郡市長は「全域に(時短を)掛けることが、私は望ましいと思う」と不満顔で語った。

 新規感染者は一時期に比べれば減ったものの、変異株拡大で、市は「いつ感染の再拡大が起きてもおかしくない」(郡市長)と時短解除に極めて慎重だった。市内部には現在の「市全域で午後8時まで」を維持すべきだとの意見もあった。

 これに対し、県は期限通りの全面解除も選択肢に検討を進めた。感染防止策を講じた飲食店の認証制度を創設し、認証店向け割り増し商品券の発行も決めた。県幹部は「時短要請の地域があると、経済対策は打ち出しにくい」とこぼした。

 「他県は時短要請をほとんどやっていない」「ここでやめなければ、いつやめるのか」。村井知事の下には経済団体から悲痛な声が寄せられていた。郡市長と折り合いを付けるため、半ば渋々と切ったカードが「青葉区限定」だった。

市街地での感染再拡大を懸念

 だが、郡市長にはのめる条件ではなかった。3~5月の泉中央(泉区)や長町(太白区)の人出が、感染拡大前と大きく変わっていない。青葉区以外の市街地で感染が再拡大しかねないと警戒感をあらわにした。

 27日夕、郡市長は電話で20分以上かけて村井知事を説得した。「青葉区以外で夜中まで飲み会があれば元も子もない」と強調。同じ時間、副市長と副知事も突っ込んだ議論を交わした。

 全面解除の選択肢は県庁内にも慎重論があったという。27日夜の幹部会議では「油断すると一気に患者が増えるのではないか」と声が上がった。「時間とエリアを狭めてはどうか」との意見が大勢を占め、段階的緩和の流れが固まった。

 共同記者会見に先立つ28日の県対策本部会議。同席した市の危機管理局は結論を知りつつ「時短要請の範囲は市全域を対象とすることが基本だ」とくぎを刺した。県方針を全て是認したわけではないと、議事録に残しておくためだった。

 郡市長は同日夕の市議会災害対策会議で、青葉区限定の時短継続となったことを問われ「知事に長く長く話したが、知事が総合的に判断した。大変残念な思いだ」と敗北感を漂わせた。

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