田山花袋の姿、50秒の映像フィルムに 多くの作家も収まる

修復フィルムに残っていた田山花袋の映像(右、郡山市提供)

 福島県郡山市の「こおりやま文学の森資料館」が所蔵する35ミリフィルムから「蒲団(ふとん)」「田舎教師」などの作品で知られる自然主義を代表する小説家田山花袋(1872~1930年)の映像が、初めて確認された。郡山ゆかりの作家久米正雄(1891~1952年)が多摩川河畔で撮影したとされ、往時の文壇を代表する作家が多数納まっていた。市は今後、資料館での公開を検討する。

郡山の文学資料館、公開を検討

 フィルムは98年、市が久米の親族から購入した。横浜市立大の庄司達也教授(日本近代文学)の研究グループが修復に成功。郡山市とオンラインで結んで26日、調査結果の報告会があった。

 50秒の映像は24(大正13)年4月、雑誌「随筆」が文人を募って企画した特集「玉川遊記」の一場面で、田山は山高帽を掲げてカメラに向かって会釈している。田山花袋文学記念館(群馬県館林市)によると、これまでに田山の映像記録は確認されていないという。

 他に子ども連れの里見弴や撮影者である久米の姿も確認できた。玉川遊記には吉井勇や宇野浩二、葛西善蔵、岡本一平ら著名人が参加しており、研究グループはフィルムに残された人物の特定を進める。

 庄司教授は「久米が当時は最新のメディアだったカメラを現場に持ち込んで撮影していた点が興味深い。近代文学史を研究する上で貴重な資料」と説明。加えて「『微苦笑』という言葉を創作した久米だが、映像では大笑いしているのも楽しい」と話した。

 長野県上田市出身の久米は父の死後に母方の実家がある郡山へ転居し、旧制安積中(現在の安積高)を卒業した。文学の森資料館には鎌倉にあった久米邸を移築して現在、記念館として内部を公開している。

修復フィルムに残っていた久米正雄の映像(左、郡山市提供)
河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る