<せんだい進行形>コロナ下 新業態でチャレンジ

 終わりが見えない新型コロナウイルス禍に、苦境が続く飲食関連業界では新たな業態に活路を見いだそうとする動きが相次ぐ。話題のスイーツの宅配とテークアウトを始めたレストラン。外食減少のあおりを受けながら、商業施設に新規出店した青果仲卸。仙台圏の2社を取材した。

イタリア料理店 ▷ マリトッツォ専門店 かわいい見た目 販売好調

 三井ガーデンホテル仙台(仙台市青葉区)のイタリア料理店「バローロ仙台」が営むローマ伝統のスイーツ、マリトッツォの専門店「MARIMO」(マリモ)が好調だ。販売はデリバリーとテークアウトのみ。新型コロナウイルス禍で店内飲食の売り上げが落ち込む中、新しいスタイルで食を提供しようと始めた。
 マリトッツォはパンにたっぷりのクリームを挟んだ菓子パン。ころんと丸い見た目のかわいらしさもあり、人気が高まっている。
 店では、ブリオッシュと呼ばれるパンに甘さ控えめのクリームを使い、「プレーン」「いちご」「あんこバター」など10種(400~550円)を販売する。「ずんだ」「仙台味噌(みそ)キャラメル」といったご当地の味も含め、バローロのパティシエがレシピを考案。注文のたびに仕上げる。4月21日に開店し、1日100~200個売れるという。
 コロナ下で何かできないかと考えた服部陽祐統括支配人が思い付いたのがマリトッツォ。バローロでは約3年前、仙台藩の慶長遣欧使節団としてローマに渡った支倉常長にちなみ、ずんだ入りのマリトッツォをデザートとして出していた。
 当時は認知度が低く定着しなかったが「今ならば」とパティシエらに相談。デリバリーでは商品ジャンルを絞った専門店が好調なことを踏まえ、種類を増やして専門店を開いた。
 「開店には覚悟が必要だったが、売り上げの減少をかなり補えた。店に活気が出て、スタッフの働く環境をつくることができたのも良かった」と服部統括支配人。アルバイトも新たに数人雇用した。他県の系列店舗での展開や催事出店なども検討している。

老舗の青果仲卸 ▷ 駅商業施設に新店舗 スムージーやサラダ 食べ方提案

 創業63年の青果仲卸、工藤祐作商店(仙台市若林区)は4月末、JR仙台駅1階の商業施設tekute(てくて)せんだいに「3007(サンゼンナナ)」を開き、青果やカラフルなスムージー、サラダを販売する。卸先の八百屋は大型店に押され、コロナ下で外食需要減少の打撃も受ける。店を通じて安全でおいしい野菜を知ってもらいたいと、食べ方を含めた提案に力を入れる。
 店舗は約86平方メートル。店名は仙台中央卸売市場の売買参加章の番号。市場で働く人が帽子に付けるナンバーだ。
 野菜や果物は安さを追わず、オーガニック栽培などで安全・安心が確保され、味も良い商品を全国から仲卸ならではの「目利き」で集める。得意のトマトを多種類そろえる一方、大根やキャベツ、白菜といった大型野菜は扱わない。火を使わずにすぐに食べられる商品に力を入れる。
 野菜や果物を使ったスムージーやサラダは「レッド」「パープル」など彩りに応じたメニュー名で販売。含まれる栄養素などから「美肌」「アンチエイジング」といった文言も添えて紹介している。
 店を企画・運営するのは、子会社でフラダンス用品の小売りなどを手掛けるティオ・カンパニー(若林区)。飲食店経営の経験もあり、商品開発などに生かしたという。
 両社の工藤喜紀社長は「こだわった商品を販売してきた八百屋は大型店に押されて数が減り、コロナもあって力も弱まっている。原点に返り、世の中のいいもの、おいしい野菜を食べる習慣をつけてもらい、八百屋が生き残っていけるようにしたい」と話す。

河北新報のメルマガ登録はこちら
せんだい経済圏-ing

 ヒト・モノ・コト・カネがダイナミックに動く100万都市仙台。仙台経済圏のトレンドや旬の話題を進行形で掘り下げます


先頭に戻る