殉職の小野訓導、住民主体で語り継ぐ 宮城・蔵王の顕彰会、解散へ

小野訓導の遺品を前に「地域の人と共に受け継いでいきたい」と語る小嶋校長=宮小敷地内の遺徳顕彰館

 宮城県蔵王町で教え子を助けるため21歳で命を落とした小野さつき訓導(旧制小学校の教諭)の第100回追悼式の節目に合わせ、主催する遺徳顕彰会(会長・村上英人町長)が今秋解散することが14日、決まった。今後は住民が語り継ぐ活動へと転換を図る。

 遺徳顕彰会は1974年発足。小野訓導がいた宮小(旧宮尋常高等小)に事務局を置く。町関係者が役員を務め、毎年追悼式を実施してきた。

 町教委によると、前年度の総会で「発展的解散」の提案があり、おおむね賛成の形でまとまっていた。地域住民が話し合い、資料を町に寄付することや来年以降の追悼式は校内行事として実施する方針を決定。14日に町内であった本年度の総会で了承を得た。

 宮小の敷地内に87年に建てられた町所有の遺徳顕彰館は今後も残る。小嶋留理子校長は「小野先生を学ぶ授業は命の尊さを伝えることに重点を置いている。会が解散しても、地域の人と共に先生の殉職を受け継いでいく」と話す。

 遺徳顕彰会は百年忌記念事業として19日に声楽コンサート、26日~7月7日に町内での七夕飾り、同4日に映画上映など記念イベントを開催し、殉職した7日に宮小体育館で第100回追悼式を行う。会解散は9月30日を予定する。

 村上町長は「百年忌の記念行事は地域と一体感を持って取り組む。会の解散後は住民が語り部になって継承していくような形へとシフトしたい」と語る。

[小野さつき訓導殉職]1922(大正11)年7月7日、小野さつき訓導は4年生56人を連れて学校近くの白石川へ写生に出掛けた。水遊びをしていた児童3人が溺れると、はかま姿で飛び込んで2人を救ったものの力尽き、残る男児1人と共に命を落とした。事故は「美談」として全国に知れ渡り映画にもなった。

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