社説(6/16):プラごみ対策に新法/総量削減へ道筋を探ろう

 日本は1人当たりのプラスチックごみ排出量が米国に次いで2番目に多い「プラごみ大国」だという。立ち遅れた脱プラスチックの取り組みをぜひ加速させたい。

 プラごみの排出削減とリサイクル強化に向けた新法「プラスチック資源循環促進法」が今国会で成立した。来年4月に施行される見通しだ。決して十分な内容とは言えないが、これをスタートラインにプラごみを増やさない社会を目指したい。

 新法の柱となるのは、使い捨てプラ製品を多く提供する事業者に削減策づくりを義務付けることと、家庭から出るプラごみを市町村が一括回収する仕組みの導入だ。

 削減策の義務化は、対象として飲食店やコンビニエンスストアなどを想定。使い捨てのスプーンやストローの有料化や代替素材への転換、使用や受け取りを辞退した客へのポイント付与などを促す。取り組みが不十分な場合は改善を求め、従わなければ50万円以下の罰金を科す。

 家庭のプラごみは現在、多くの自治体が容器包装プラを分別回収しているが、新法では文房具やおもちゃなども含め、資源として回収するよう市町村に努力義務を課す。環境省は本年度、モデル事業を実施して、自治体への支援策を検討する方針だ。

 排出削減とリサイクル強化がともに急務であることに異論はない。だが、新法は肝心の総量削減に踏み込んでいないため「プラごみ大国」からの脱却には、なお不十分な内容と言わざるを得ない。

 世界自然保護基金(WWF)ジャパンなどによると、国内で排出される廃プラスチックは年間890万トンを超える。このうち国内でリサイクル処理されているのは16%にすぎず、8割以上が焼却、埋め立て、海外への輸出に頼っているのが実情だ。

 まず「川上」で使い捨てプラ製品の生産量を大幅に削減しなければ、「川下」の負担は軽減されず、対策も十分な効果を上げにくい。

 政府は現在、飲食店やコンビニが客にストローを使うかどうかを聞くだけでも「削減の取り組み」に認める方向で検討を進めているという。実際にどれほど効果があるのか疑問が残る。

 代替素材への切り替えでは植物由来資源を使用したバイオマスプラスチックが有望視されそうだが、完全には分解されない物も多く、食糧資源と競合する懸念もある。

 欧州連合(EU)は今年から、使い捨て食器を禁止し、「プラスチック税」を導入。ケニアも自然保護区や海岸などで使い捨てプラ製品の使用を全面的に禁止している。

 海洋汚染や地球温暖化、生態系のかく乱。環境危機のほとんどにプラスチックが関与していることは既に世界の常識だ。目先の安さや便利さへの依存を断ち切り、総量削減への道筋を探りたい。

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