渡辺監督、J2山口再建へ奮闘 ベガルタで目指した攻撃的戦術に注力

山形戦でベンチから出てピッチの選手に大声で指示を出す渡辺監督(左)=13日、天童市

 サッカーJ1仙台で2019年まで約6年間指揮を執った渡辺晋・元監督(47)が今季、J2山口の監督に就きJ1昇格に挑んでいる。現段階の成績は中位と苦戦が続くが、理論派の指揮官は「好機の回数は増えている」と前向き。選手、コーチ時代を含め19年間所属した古巣の経験を生かし、昨季最下位に終わったチームの再建に力を尽くす。

 13日は山形県天童市のNDソフトスタジアム山形で、リーグ戦第18節の山形戦に臨んだ。ベンチ前で選手に盛んに指示を送るたたずまいに変わりはない。試合は0-2で敗れたが「やろうとしていることにトライできた」と高く評価した。

 通算成績は5勝5分け8敗の勝ち点20で22チーム中16位と振るわないが、内容は悪くない。仙台でも目指したボールを保持して主導権を握る攻撃的な戦術が浸透しつつある。

 2001年、当時J2の仙台にDFとして加入した渡辺氏。04年に引退後はコーチなどを務め、14年4月に前監督の解任でヘッドコーチから昇格。チームを10季連続のJ1残留と18年の天皇杯全日本選手権準優勝に導いた。

 退団後の昨年は著書の執筆や大学での指導など「自分自身を見つめ直す」時間に充てた。昨年12月に山口の監督就任が決定。「目指すサッカーをクラブに評価してもらった。J1定着を掲げる目標も明確だった」と決断を振り返る。

 仙台で苦楽を共にしたDF渡部博文(33)=山形中央高-専修大出=、GK関憲太郎(35)を補強。練習でも、選手が理解しやすいようにと仙台時代に考え抜いた言葉の選び方や指導方法を多く活用している。

 恩師の教えも参考にした。1月の就任会見で「2年でJ1を目指す」と公言。コーチとして師事した仙台の手倉森誠監督が最初に仙台監督に就任した08年に「5年でACL(アジア・チャンピオンズリーグ)出場」と掲げ、公約通り13年に実現した快挙にならった。

 「リーダーが道筋をはっきり示すことで、チームにエネルギーが生まれる」

 妻と山口に転居。オフは自宅で地酒とフグなど地元の海の幸を楽しみ、新生活にもなじんできた。今季は「本気度を見せる」と勝ち点60と1桁順位を目指す。

 仙台のホーム、ユアテックスタジアム仙台(仙台市)に乗り込むのは、その先だ。「行く機会ができたら思いがこみ上げてくるかもしれないが、今はチームの昇格しか考えていない」。なじみ深い古巣への思いを断ち、一心不乱に指導者人生の第2章を戦い抜く。
(山形総局・原口靖志)

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