福島県、凍霜害対策に復興予算拠出 宮城、山形から疑問の声も

福島県庁舎

 南東北で4月に発生した果樹の凍霜害を巡り、福島県は農家を支援する経費の一部に東日本大震災の復興予算を活用する。東京電力福島第1原発事故に伴う農林水産物の風評対策に充てる事業費から3億9000万円を拠出する。同じ被害に悩まされる宮城、山形両県の関係者からは疑問の声も上がる。

 福島県は5月21日、農家支援対策費5億5800万円を盛り込んだ2021年度一般会計補正予算を専決処分した。果樹の周辺を暖める「防霜ファン」導入経費の国庫補助に県が4分の1を上乗せするほか、農薬や肥料の購入費の3分の2を県と市町村が負担する独自支援策を打ち出した。

 これ以外に、次期作の品質を確保する対策も講じると発表。病気や虫の発生を防ぐため、枝の剪定(せんてい)作業に10アール当たり3万6000円を支給する。作業量の増大に伴う人件費に充てることも可能で、3億9000万円を確保した。

 財源は国の21年度復興特別会計当初予算のうち、農林水産物の風評払拭(ふっしょく)に充てる「県農林水産業再生総合事業」(47億円)から工面する。農林水産省の資料によると、主な使途として食品の安全性に関する国際認証のグローバルGAP(ギャップ)の取得推進、海外への販路拡大や需要喚起を想定している。

 事業目的の一つに「高付加価値化によるブランド力の向上」を挙げており、国や県は今回、凍霜害による次期作への影響を最小限に抑える支援策は該当すると判断。農水省の担当者は「災害対応ではなく、あくまで来年の収益を確保する施策なので問題はない」との認識を示す。

 県園芸課は「県内では風評被害で果樹の価格が震災前に戻らない上、19年は台風19号豪雨、昨年はモモの細菌病と三重苦に直面している。営農意欲を支えるために欠かせない事業だ」と説明する。

 凍霜害は宮城、山形でも深刻化し、復興予算の活用に首をかしげる人も少なくない。農政関係者の一人は「次期作に必要な実費を支援するというより、単なる『見舞金』ではないか」と指摘する。

 宮城県園芸推進課は「被害は広範囲に及ぶ。国には全てを網羅した形での支援をお願いする」と話す。

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