宮城県南のナシ 深刻な凍霜害 角田「ほぼ全滅」、蔵王「過去最悪」

 宮城県南特産のナシが凍霜害(とうそうがい)に遭い、深刻な状況になっている。原因は3、4月の不安定な気候。温暖だった3月の影響で例年より早く開花時期を迎えた後、4月は一転して氷点下の冷え込みになり、花の雌しべが枯死した。受粉が進まず、実ができても傷かひびが付いた。産地のうち、角田市では「ほぼ全滅」と嘆く農家もおり、蔵王町では被害が2億円を超える見通しだ。

実に傷が付いたナシを見て回る小野寺さん=角田市

 ナシの栽培面積が約15ヘクタールに上る角田市。宮城県内では蔵王、利府両町に次ぐ産地だ。

 「出荷できるのは傷がある実を含めても例年の1、2割程度。47年栽培してきたが、これほどの被害は初めてだ」

 みやぎ仙南農協角田梨部会長の小野寺喜一さん(65)がため息を交えて話す。例年、市内の農家が栽培したナシ約160トンを出荷し、販売額は計4000万円ほどになる。今年は大幅な減収が避けられない。

 今年のナシの花は例年より10日ほど早く咲き、最も早い品種は4月10日ごろ満開となった。受粉期に入った同11日朝に氷点下4・2度、27日にも氷点下4度を観測した。

 小野寺さんのナシ園では、11日の低温で一部の品種の雌しべが枯死し、実が付かなかった。11日時点で開花しておらず、実を付けた品種も27日の低温で実の表面が凍り、傷だらけになった。

 小野寺さんは現在、傷のある実を育てている。「見栄えが悪く安いが、味に変わりはない」と秋の出荷を見据える一方、「暖冬の傾向が続いて開花が早まり、来年以降も被害が繰り返されるのではないか」と不安を募らせる。

 凍霜害を防ぐには燃焼資材で地温を高める手法があるが、広大なナシ園の多くの地点で火をたかなくてはならず、かなりの労働力が必要になる。暖かい空気を地表に送る防霜ファンは高額で多数の設置が難しく、備えたナシ園でも今回の被害は抑えられなかった。

 県内最大産地の蔵王町では、栽培面積69ヘクタールのうち約7割が凍霜害に遭った。被害総額は現時点で2億2600万円に上る見通しで、町農林観光課の担当者は「過去最悪の被害とみられる」と分析する。

 角田市と蔵王町、みやぎ仙南農協は連携し、来年の栽培に向けた支援を県に要望する考え。市産業建設部は「農家の生産意欲を低下させないよう努めたい」としている。

 角田市と蔵王町ではナシのほか、リンゴやモモなどにも被害が確認されている。利府町では冷え込みが弱く、ナシの被害はほぼなかった。

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