コロナ下の祝祭に違和感も 聖火リレー宮城入り

マスク姿で沿道に並び、聖火ランナーを応援する観客=19日午前、気仙沼市内

 世界で新型コロナウイルスが猛威を振るう中で始まった宮城県内の聖火リレー。県内の感染状況は6月に入り落ち着いたが、3カ月前には各地でクラスター(感染者集団)が相次ぐなど病床が逼迫(ひっぱく)し、医療崩壊の寸前まで追い込まれた。「油断していないか」。コロナ下の祝祭に違和感を抱く人は少なくない。

 「ようやく落ち着いてきたのに…。沿道に人が集まっている様子を見ると恐ろしくなる」。仙台市若林区の女性看護師(53)は危機感を隠さない。

 脳裏をよぎるのは春先の混乱。県内の新規感染者は2月にゼロの日もあったが、直後に反転し、3月末には過去最多の1日200人に達した。市内の病床はほぼ埋まり、4月には全国初の「まん延防止等重点措置」が適用された。

 女性は「選手やランナーにとって一生に一度の機会だが、人命を守る方が大事」と強調。「国民にワクチンが行き届くまで延期してほしかった。気分は盛り上がらない」と話した。

 県内では、青葉区の酒類提供店への時短営業要請が14日朝に解除されたばかり。泉区の主婦大沼愛子さん(72)は「患者の減少で油断したように思える。本当に大丈夫だろうか」と気の緩みを懸念する。

 県実行委員会によると、沿道に人が集まる場面はあったが、感染を招くほどの密集が生じる場面はなかったという。気仙沼市のパート千葉三千夫さん(76)は「感染対策にも個人差がある」として「(感染防止の)意識を徹底的に高める方策が重要だ」と指摘した。

 石巻市の飲食店経営佐伯大輔さん(39)は「国民が一つになるためのイベントのはずが、観客を制限したり、一部公道を中止したり。まるで隠れるように開催するリレーに意味があるのか」と疑問を投げ掛けた。

 佐伯さんは一方で、東日本大震災を乗り越えて参加する走者の心情も推し量る。「リレーを決行した以上は、ランナーが非難される事態につながらないよう感染対策を尽くしてほしい」と注文した。

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