<手腕点検>山元町・斎藤俊夫町長 子育て定住策に手応え

 東日本大震災から10年がたった今年、地方自治の現場は新型コロナウイルス感染症との闘いに引き続き追われた。少子高齢化や人口減少、地域経済の疲弊も深刻化。難局のかじ取りを担う市町村長は地域の負託に応えているか。住民や関係者の声を交えて検証する。

町議会6月定例会の冒頭で町政報告をする斎藤氏=4日

 「わが町の復興創生に向け、引き続きチーム山元一丸で取り組む」。山元町の斎藤俊夫町長(72)は4日の町議会6月定例会の町政報告で、予約不要の仕組みや送迎バスを用意して始めた新型コロナウイルスワクチンの集団接種、県内で最大震度6強を観測した2月の地震被害への独自支援など実績を強調。3期目の任期満了まで残り10カ月となった町政のかじ取りに意気込みを表明した。
 中でも重要施策と位置付け、折に触れ成果を誇るのが子育て定住政策だ。
 「子育てするなら山元町」を掲げ、新婚・子育て移住世帯に最大370万円を補助。2016年度から、転入者が転出者を上回る社会増が続いている。人口は東日本大震災で4000人以上減ったが、14年度以降は1万2000人台で踏みとどまる。
 17年度に過疎地域に指定され、高齢化率は40・7%(20年度)と県内3番目に高い。しかし、若い世代が移住していることを踏まえ、「不均衡な人口構成を解消し、にぎやかさを実感できるまちづくりを進める」と手応えを口にする。

 一方、今年4月に6人の待機児童が生じ、目玉政策が後手に回っているとの指摘がある。岩佐孝子町議(67)は震災で全壊した坂元地区の保育所整備を見送った判断を問題視し、「子育てのしやすさをアピールしているのに、再開を求める地元の声を聞き入れなかった」と不満をぶつける。
 斎藤氏は10年、38年間の県職員の経験を武器に古里の町長選で初当選。震災後は沿岸部一帯を津波防災区域(災害危険区域)に設定し、内陸3カ所への移転集約を断行。新市街地つばめの杜が復興の象徴として注目される半面、大胆な集約化は「強引」「沿岸部切り捨て」との批判も招いた。
 こうした経緯を背景に町議会(定数13)は支持勢力と反対勢力が拮抗。反町長派の攻勢に色をなして反論する斎藤氏の姿が定例会ごとに繰り返されている。

 たびたび論議を呼んでいるのがパークゴルフ場を核としたスポーツ・レクリエーション複合施設構想だ。3月定例会では基本計画策定費1500万円の削除を求める修正動議が出され、6対6の賛否同数の末、議長裁決で否決された。
 議員から「優先順位は低い」「構想の全体像が見えない」などの声が上がる。実現まで紆余(うよ)曲折が見込まれるが、斎藤町長は「交流人口の増加だけでなく、町民の健康増進にも役立つ」と方針は揺るがない。
 岩佐哲也議長(78)は震災やコロナ対策、2月の地震といった有事に際し、豊富な行政経験が力になったと評価する。その上で「リーダーには理だけでなく情も大事だ。議会、町民との合意形成にもっと心を砕いてほしい」と注文を付ける。
(亘理支局・庄子晃市)

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