「持続可能な地域」づくりへ 東北で動き活発化

気になった新聞記事がSDGsの17の目標のいずれに該当するかを考える生徒たち=5月19日、仙台市太白区の仙台南高

 国連の持続可能な開発目標(SDGs)の実現を目指す動きが、東北でも活発になっている。地球温暖化をはじめ環境対策に力を入れる企業が増加。森や海など豊かな資源を守る取り組みも盛んになってきた。

 東日本大震災の被災地では人口減が加速。少子化や過疎化に直面する東北の各地を含め、「持続可能な地域」の実現は待ったなしの課題だ。

 貧困や飢餓の撲滅、平等な社会の実現など、SDGsが掲げる17の目標をどう達成していくか。東北の学校現場では、将来の担い手となる子どもたちの意識を変え、意欲を育む教育が熱を帯びている。

「復興担う人材を」 教育現場 手探りで

 国連の持続可能な開発目標(SDGs)をテーマにした学習が、教育現場で広がっている。宮城県内では高校をはじめ多くの学校が「探究」などの学習で採用し、進路指導に生かす例も。SDGsが掲げる17の目標には、東日本大震災の被災地復興に関わる項目もあり、教員たちは「地域の将来を支える人材を育てたい」と世界共通の課題に手探りで向き合っている。

 「SDGsのレンズを通して社会を見てみよう」。仙台南高(仙台市太白区)の渡辺武教諭(50)は5月の授業で、各教室の3年生計270人にオンラインで呼び掛けた。

 題材にしたのは環境汚染や経済格差、大量消費などを扱った動画や新聞記事。生徒たちは、それぞれの問題が「貧困をなくそう」など、17の目標のいずれに関わるか話し合った。

 現在の3年生は昨年、探究学習で地域課題を調べた。本年度はSDGsの視点を盛り込み、持続可能な社会実現につながる仕事を考えるなど、進路選択とも絡める予定だ。

 「動画や記事で実際の社会問題に触れ、SDGsのイメージをつかめた。自分たちの未来にもつながると分かった」と生徒の一人。渡辺教諭は「生きる目的を持ち、人を幸せにできる大人を育てたい」と学習効果に期待する。

 17の目標の一つ「住み続けられるまちづくりを」は各地に共通するテーマ。人口減が加速する震災の被災地にとっては切実だ。

 石巻市桜坂高の1年生115人は5月下旬、カードゲームで地域づくりを模擬体験した。参加者が協力や衝突をすることで、人口が増減したり、環境、経済が好転・悪化したりする。当事者になったつもりで社会の課題などを学んだ。

 生徒たちは今後、地元商店街に聞き取りし、実際の「地方創生」「地域活性化」を考える。小山信教諭(50)は「生徒の半数が地元に定着するため、持続可能な石巻を支える人材を育てたい。自ら考えて行動できるようになってほしい」と話す。

 気仙沼市では2000年代前半から、SDGsにつながる国連の「持続可能な開発のための教育(ESD)」に力を入れてきた。大半の学校が、豊かな自然を題材に環境教育を続ける。

 ただSDGsについては、統一的な指導ノウハウがあるわけではない。宮城県内の教育委員会関係者は「教員の理解も決して十分ではない。グローバルな社会問題や解決方法を、どう具体的に教えるかなど課題も多い」と指摘する。

[SDGs]持続可能な開発目標「Sustainable Development Goals」の略。貧困や格差をなくして持続可能な社会を実現するため、2015年の国連サミットで採択された。「誰一人取り残さない」を基本理念に、環境や教育、ジェンダー、気候変動など17の目標と169のターゲット(具体的な目標)を設定。日本をはじめ国連加盟国が30年までの達成を目指す。

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