一力遼の一碁一会 「ペア碁の魅力」 息合わせ勝利 喜び2倍

一力遼の一碁一会

 テニスや卓球に混合ダブルスという種目があるように、囲碁にも男女がペアを組んで2対2で戦う「ペア碁」という種目があります。ペア碁にはどのような特徴があるのでしょうか。

 ペア碁は約30年前に日本で誕生しました。プロ、アマ問わず親しまれており、1990年からアマの大会が、94年からは国内のトップ棋士による「プロ棋士ペア碁選手権」(プロペア碁)が毎年開催されています。

 着手する順番は決められており、対局中の相談はできません。パートナーとは考えていることが異なる場合も多いので、1対1の対局と比べるとスリリングな展開になりがちです。勝つためには、パートナーといかに呼吸を合わせられるかが大切になります。

 個人の対局で負けたら、その原因は全て自分にあります。一方ペア碁は、勝ったときは喜びを共有でき、負けたときには敗因を一人で抱え込む必要がないので「勝てば喜び2倍、負けても悔しさ半分」です。

 私は2015年から、プロペア碁に出場しています。勝った際は2人で成し遂げたという達成感があり、「喜び2倍」を実感します。この大会はファンが間近で観戦できるため、イベントの要素が強いのも特徴です。棋士は普段、真剣な表情で対局に臨みますが、ペア碁では対局後の検討が和やかな雰囲気で行われます。

性のトップ棋士で、プロペア碁では11年から3連覇を果たした謝依旻(しぇいいみん)六段(31)は、ペア碁の魅力について「一人では勝てない相手でも勝てる可能性がある」点を挙げています。大会では、男性のタイトル保持者が初戦で姿を消すことも珍しくありません。

 謝さん自身、イベントで級位者の方とペアを組み、アマ強豪ペアを相手に互角に戦えたことがあったそうです。相手ペアにとっても、プロといい勝負ができた貴重な体験になったことでしょう。

 ペア碁は世界中に広まっており、プロ、アマともに国際大会が開催されています。12の国・地域から16ペアが参加した「ペア碁ワールドカップ2016東京」では、民族衣装を着て対局する姿も多く見られました。私も参加しましたが、華やかな大会だったのが強く印象に残っています。
(囲碁棋士)

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