社説(6/24):「赤木ファイル」開示/森友問題 再調査に生かせ

 森友学園への国有地売却を巡る財務省の公文書改ざん問題で、2018年3月に自殺した近畿財務局元職員赤木俊夫さん=当時(54)=が改ざんの経緯をまとめていた「赤木ファイル」が、ようやく遺族側に開示された。
 同省理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官が主導し、本省から頻繁に指示を受けた近畿財務局が、上意下達で改ざんを強いられたことがほぼ裏付けられたと言える。
 財務省が18年に公表した調査報告書は、学園側との交渉記録廃棄や決裁文書改ざんを巡り「理財局長が方向性を決定付けた」といった大まかな経過説明にとどまっていた。
 菅義偉首相はこの調査報告書と、検察が佐川氏らを不起訴としたことで結論は出ているとして再調査を否定しているが、佐川氏が具体的にどんな指示を出したかなど、不明な点は多く残されている。
 赤木ファイルは今回、近畿財務局とのやりとりを担った財務省担当者らの氏名などが黒塗りされて開示された。
 幹部以外のプライバシーには配慮しつつ、可能な限り黒塗りを外して不正の指揮系統が明らかになるよう、国会主導で再調査を行うべきだ。
 森友問題は、国有地が8億円余りも値引きされて学園に売却されたことが発端だ。開校予定だった小学校の名誉校長に当時の安倍晋三首相の妻昭恵氏が一時就任していたことから、野党は値引きとの関係を追及。首相は「私や妻が関わっていれば、首相も国会議員も辞める」と答弁した。
 佐川氏も国会で追及を受け、学園側との交渉記録は廃棄したと説明。政治家の関与も否定したが、これに前後して交渉記録が廃棄され、決裁文書から昭恵氏や政治家に関する記述を削除するなどの改ざんが行われた。
 開示されたファイルは518ページに上り、この中で赤木さんは「佐川局長から国会答弁を踏まえた修正を行うよう指示があった」という本省からのメールなどをコピーして残していた。
 本省からは他にも「森友関係の書類は開示請求があった際のことを踏まえると、削除した方が良いと思われる箇所がある」「17年3月末をめどにできるよう進めていきたい」といったメールがあった。
 赤木さんはこうした財務省の指示内容をファイルに整理する一方、自身の対応についても「現場の問題認識として既に決裁済みの調書を修正することは問題があり、行うべきでないと強く抗議した」などと記していた。
 本省による指示の実態が明らかになった以上、問題の矮小(わいしょう)化は許されない。不正の指示が通常業務のように淡々と行われていた様子には、組織的な病理も感じられる。
 赤木さんは公務員であることを誇りにしていたという。信念を持って残した貴重な記録を全容解明に生かさなくてはならない。

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