「イナイチ」売り込み、連携いまいち 猪苗代湖一周サイクリングコース、自治体に温度差

猪苗代湖の郡山市側にある湖南港。北岸側に比べて南岸側の観光客は少ない
郡山市が作成した「イナイチ」ロゴマーク

 猪苗代湖を一周するサイクリングコース、通称「イナイチ」を売り込もうと、福島県と郡山市がPRに力を入れている。北岸に集中する観光客を、南岸の郡山市側や周辺部に誘いたいとの思惑だが、郡山市と共に湖を囲む猪苗代町と会津若松市の視線は冷ややかだ。官製ルートはロードバイク愛好者の評価も厳しく、態勢の立て直しが急がれる。

 以前からサイクリストに知られているイナイチは1周62キロ。県は新たに周回ルートから外れた磐梯熱海温泉(郡山市)を発着地とする80キロのルートを推奨した。ルート上に30カ所のサイクルスポットを設け、JR磐梯熱海駅前で自転車の貸し出しも始めた。
 歩調を合わせて郡山市は昨年度、磐梯山や湖面を図案化したロゴマーク(図)を作成した。本年度はTシャツやタオルにロゴをあしらったオリジナルグッズの製作業者を募集している。
 猪苗代湖の観光客数(2017年度)は、道の駅猪苗代91万人、野口英世記念館16万人など交通の便に勝る猪苗代町側が圧勝。郡山市側は湖南七浜湖水浴場と湖まつりを合わせても4万人にとどまる。
 サイクリングブームに乗じた観光戦略は、猪苗代湖を「面」で県内外に売り出したい県と、湖南地区観光の起爆剤にしたい郡山市の利害が一致した格好だ。
 半面、独り勝ちの猪苗代町は「郡山市の事業なので詳細は分からない」(商工観光課)と素っ気ない。「湖岸に観光施設がほとんどない」(観光課)という会津若松市も「余録」が期待できないだけに模様眺めを決め込む。
 ルートを巡っても「地図を見て線を引いただけ」と手厳しい声が上がった。
 「完走後は磐梯熱海温泉で汗を流して」と宣伝する県に、ロードバイク愛好家は「湖の近くに鉄道駅が何カ所かあるのに、わざわざ湖から離れた磐梯熱海駅を発着地にする必要があるのか」と疑問視する。
 その上で「イナイチは起伏が激しく急カーブや狭い道も多い中・上級者向け。商品開発も大事だろうが、行政には案内標識の設置や危険箇所の改修をお願いしたい」と注文を付ける。
 こうした意見もあって県は、近く関係団体を集めてサイクリングロード整備協議会を設置するという。予算が伴う道路整備を呼び水にして関係自治体の足並みをそろえたい考えだ。

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