社説(6/25):「骨太の方針」決定/公平性重視の経済社会を

 菅義偉政権として初の経済財政運営の指針「骨太の方針」と成長戦略が閣議決定された。コロナ禍で明らかになった弱点を克服し、世界の動きに対応できる政策展開につなげなくてはならない。

 深刻な打撃を受けた経済の回復は、もとより誰もが待ち望んでいる。残念なのはテーマと目標の羅列が目立ち、「コロナ後」の経済社会の理念や政策実施の具体的な行程が見えないことだ。

 今回の方針は「強い経済」を掲げ、(1)脱炭素化(2)デジタル化(3)地方創生(4)少子化対策-の4分野を「ポストコロナの成長の原動力」と位置付けたのが特徴だ。

 国内総生産(GDP)を戦後最大の規模へ大幅に増やすという安倍晋三前政権の目標も踏襲した。

 脱炭素分野では、再生可能エネルギーを最大限導入すると強調し、必要な送配電網・電源への投資を着実に実施するとした。安易な原発回帰に距離を置く姿勢は評価できるものの、再生可能エネルギーを電源構成上どう位置付けるかなど、政府の「本気度」はいまだ示されていない。

 デジタル分野では、行政手続きの大部分を5年以内にオンライン化することや、中央銀行発行のデジタル通貨の実現可能性について検討を始めることが盛り込まれた。いずれも他の主要国・地域に比べ対応が遅れたテーマだけに、今後の手順や途中経過に関する情報公開は不可欠だ。

 地方創生と少子化対策は、安倍前政権からの重点施策でありながら、ほとんど成果が見られない分野だ。地方企業に人を呼び込むための人材リストの拡充や「こども庁」創設を軸とした縦割り解消が掲げられたが、やはり新鮮味に欠ける内容となった。

 菅首相は会見で「ポストコロナ」に向けた取り組みを強調したが、今回も従来の方針と同様に「経済成長」が前面に打ち出されたことで、コロナ後の経済社会の在り方までは射程に収め切れていない。

 政府のコロナ対応を巡って「デジタル敗戦」「ワクチン敗戦」といった痛烈な言説が飛び交ったのは、必要とする人々に最低限の情報や支援が届かない不公平感からではなかっただろうか。

 コロナ禍のしわ寄せが特に非正規労働者や女性、若者に集中している現実にきちんと目を凝らしていれば、「経済成長」以上に「公平性」を重視した戦略が描けただろう。

 さらに、コロナ対策で悪化した財政をどう立て直すかといった骨太方針の本来の役割も今回はあいまいにしてしまった。国と地方の基礎的財政収支を2025年度に黒字化する従来の目標は堅持しつつ、「本年度中に改めて目標年次を確認する」という。

 平時に戻ったとき、積み上がった財政赤字にどう向き合うか。あらかじめ考えをまとめておくのが次世代への「公平性」というものだろう。

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