東日本大震災から10年がたった今年、地方自治の現場は新型コロナウイルス感染症との闘いに引き続き追われた。少子高齢化や人口減少、地域経済の疲弊も深刻化。難局のかじ取りを担う市町村長は地域の負託に応えているか。住民や関係者の声を交えて検証する。
「非常に課題の大きい復興事業だったが、理想型で解決することができた」
東日本大震災で被災した気仙沼市本吉町の大谷海岸が20日、11年ぶりの海開きにこぎ着け、菅原茂市長(63)は15日の定例記者会見で自負をのぞかせた。
約2キロ続く遠浅の海岸は地域のシンボル。震災前年、海水浴場には県内トップの約6万5000人が訪れた。国の中央防災会議専門調査会の提言に基づいて県が示した、砂浜を埋める当初の防潮堤建設計画に住民は反発し、市も国などと対峙(たいじ)してきた。
市長自ら住民有志でつくる「防潮堤を勉強する会」の意見交換にも臨み、関係機関には「住民が納得しない」と要望を続けた。結果、計画は見直され震災前の面積で砂浜が守られた。
2010年に初当選し、現在3期目。任期のほぼ全てを気仙沼の復興に費やしてきた。防潮堤の高さや復興交付金の弾力的な運用を巡り、時に国や県へも気後れせずもの申してきた。
市議会の菅原清喜議長(71)は「勉強熱心で制度に精通している。強い責任感で市の復興を引っ張ってきた」と振り返る。
復興事業がほぼ終わった今、人口減少対策や産業振興などに比重を移す。震災前7万以上あった人口は年度内にも6万を割る見通し。20年4月に市長直属の「人口減少対策統括官」を新設し、災害公営住宅の空き室を利用した「お試し移住」や東京都内への相談窓口設置などを仕掛ける。
今月には、地元企業の活力を生もうと無料経営相談窓口「気仙沼ビジネスサポートセンター」(気仙沼ビズ)の業務を始動させた。初当選時の公約でもある産業振興に改めて注力する。
積極的に施策を打ち出す半面、一部の職員は「事業が増えても整理して減らすことはない」とぼやく。庁内では以前から職員の残業時間削減が課題だ。
「物事を人に任せられない性格」と後援者。「聞いてない」と言われぬよう、職員は事業内容や進捗(しんちょく)を「市長レク」で説明し助言を受ける。レクの順番待ちの各課職員が部屋の前にたむろする姿も。「助言が参考になる」と好意的な見方もあるが、資料の一字一句に及ぶチェックにうんざりする職員もいる。
ある市議は「復興へ一丸だった段階では不満が出にくかったが、職員の意欲を奪い十分な成長を促せなかった」と指摘する。
市街地には依然空き地が目立ち、活気は戻っていない。復興予算に支えられた時期を過ぎ、今後は費用対効果を見極め事業の取捨選択も必要だ。限りある人材や予算を生かし、有効な手を打てるか。市民の目は厳しさを増す。
(気仙沼総局・鈴木悠太)
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