「検証・郡市政 選択軸の現場」(4)生活困窮 コロナ禍 支援側も苦境

食料品を段ボール箱に詰めるフードバンク仙台のボランティア=21日、仙台市青葉区

 数日間、ほぼ水しか口にしていない。所持金は底を突いた。もう限界だった。

 「食べ物を分けてくれませんか」。仙台市の30代男性は3月上旬、食料品を無償で提供する青葉区の市民団体「フードバンク仙台」の事務所に駆け込んだ。

 新型コロナウイルスの影響で、勤務先の飲食店が昨年夏に閉店。月30万円の収入が途絶え、蓄えもなくなった。辛うじて通じた携帯電話の検索機能でフードバンクの存在を知った。受け取った1週間分の食料品で何とか飢えをしのいだ。

 応対した専従スタッフ川久保尭弘(たかひろ)さん(34)は「わらにもすがる思いで来たのだろう。公的な貸付制度も紹介し、今は窮状を脱したようだ」と振り返った。

 フードバンク仙台はボランティアが事務所に寄せられたコメや飲料水、即席麺などを段ボールに詰め、週3回、1日20~25世帯に届ける。申し込み時点の聞き取りから支援先の8割は月収が10万円に満たず、生活保護の受給対象になり得る状況とみられる。

 川久保さんは「支援先は20~40代が半数を超える。働き盛りの世代が再就職する難しさを反映している」と分析。生活保護の受給世帯が市内で大幅に増えていない状況と、暮らしの実態に乖離(かいり)があると指摘する。

 労働相談に応じるNPO法人「POSSE」仙台支部(青葉区)には、コロナ禍でアルバイトを失った外国人留学生から問い合わせが相次ぐ。昨年3月以降の外国人相談120件のうち、留学生が111件と9割超を占めた。頼みのバイト収入がゼロになり、生活に困る事態に陥っている。

 スリランカ人の専門学校生は学費、家賃、携帯料金を滞納した。知人宅を転々として食いつなぎ、POSSEにたどり着いた時は、所持金が300円しかなかった。市社会福祉協議会が窓口の貸付制度を利用し、ひとまず借金は返した。

 森進生代表(31)は「留学生のコミュニティーだけでは的確な情報が入らない。国際都市にふさわしく、きめ細かな働き掛けが求められる」と訴える。

 
 コロナ禍は、弱い立場の人を支援する側も苦境に立たせている。

 共働きやひとり親世帯、貧困家庭の子どもに無料で食事を提供する「子ども食堂」。感染拡大に伴い、会場となる市民センターなどが会食禁止となり、市内の約50団体の一部は活動の休止を余儀なくされた。

 宮城野区の団体「宮城野子ども食堂」は、区中央市民センターで食事を提供する活動を弁当の配布に切り替え、支援を継続した。郡和子市長(64)が昨年、配食事業の助成制度を創設したことも後押しになった。

 高橋悦子代表(73)は「本来は食事を通じた居場所づくりが目的で、親の悩みも共有していた。今は会話も減り、何とかつながっている状態」と強調。「必要な家庭に支援が届いているか心配だ。食事提供にとどまらない踏み込んだ施策が求められる」と指摘する。
(報道部・布施谷吉一)

[生活保護]仙台市の受給世帯は5月末時点で、新型コロナウイルス流行前の2019年同時点と比べ、3・7%増の1万4289世帯。受給者数は1・5%増の1万8348人となった。支給基準は夫婦(33歳、29歳)と子ども(4歳)の3人世帯の場合は月15万2120円、高齢者(68歳)の単身世帯の場合は月7万3590円。年齢や世帯構成、妊産婦、障害の有無などで金額は変動する。

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