PTA役職、なぜ性別で固定? 背景に根強い慣例や固定観念

 世界各国と比べて大きい日本の男女格差。男女の役割分担の意識が根強く残る組織の一つがPTAだ。一般的に、女性が委員の多数を占める一方、会長は男性が就くことについて、中日新聞(名古屋市)のユースク取材班に多くの疑問の声が寄せられた。そこで、PTAの「男女」の現状を探ってみた。

 「私の名前で立候補の届けを出したのに、なぜ妻の名前が書いてあるんだろう?」。4月下旬、名古屋市内の小学校に子どもが通う40代の父親は、首をかしげた。見ていたのは前日に学校から届いた新年度のPTAの役員・委員の名簿。各学級から合計29人選出する学級委員の欄は、全て女性の名前で埋まっていた。

 妻も仕事が忙しい中、「子どものために学校に積極的に関わりたい」との思いで学級委員に立候補した。男性が少数派であることは想定していたが、「出ばなをくじかれた形」。

 記者が学校に取材すると、PTA関連の業務を担当する教頭は「ただただ慣例的に母親の名前を書いてしまった。PTAの学級委員は母親がやるものという固定観念があった」と説明し、深謝した。

 名簿では、この男性を含め、立候補した3人の父親の名前が母親に変更されていたが、後日、訂正版が配布された。男性は現在、学級委員を務めている。

 PTAの人選には、こうした「慣例」が少なくない。この小学校では、女性が役員や委員の大部分を占めているが、会長に男性が就くのが慣例だ。実務は会則で若干名の副会長の1人が兼務すると定められている「母親代表」が取り仕切る。

 母親代表の性別は明記されていないが、当然、女性が就任してきた。背景には、トップに男性を置いて一歩引いた形の副会長の女性が実際の活動を担うという、性別による役割分担の考え方があることがうかがわれる。

 一方、こうした構図を問い直す動きが今、各地で起こっている。名古屋市でも、各学校のPTAを取りまとめる市立小中学校PTA協議会は3月、各学校の「母親代表」を代表する役職を廃止することを決めた。

 これを受けて母親代表を廃止するか否かは各学校のPTAの判断となるが、市PTA協議会の鬼頭恵助会長は「(慣例となっている)役割分担の構図をなくしたい」と説明。女性会長が増え、「会長=男性」という固定観念が見直されることを期待する。名古屋市内の学校で女性がPTAの会長を務める例は約11・5%。全国平均15%を下回る。市PTA協議会はもちろん女性に全てを任せたいわけではなく、男性のPTA参加も促していく方針だ。

 名古屋市PTA協議会は、各地区の組織が集まって開かれる東海北陸ブロックPTA協議会の「母親代表者会」に男性役員を出席させる方針。主催側からは「女性を」との打診があったが、鬼頭会長は「それでは意味がない。父母関係なく親として子どもを支えていく時代。新しい風を通したい」と力を込める。

「実働は母親」変えるべきだ

 ユースク取材班には「PTAの各役員分担が性別で決められていてびっくりしました。PTA活動ではこれが普通なのでしょうか」(愛知県内、女性)との投稿もあった。

 女性の低学年の子が通うこの投稿者の小学校では、PTA会則の中で本部役員について「(役員)1年目の女性は3人とも女性代表、(役員1年目の)男性は会計監査に2人、書記あるいは会計に1人」とあり、会計監査は男性の役職と決められている。

 会則は数回改正されているが、性別で役職を振り分けた経緯は不明だ。事務局の学校は「男性を含むたくさんの人に関わってもらうために作られたと思う」と想像する。

 女性は「男女で振り分けるのは今の時代はダメだと思う。『女性代表』を置くことにも違和感がある。他の人も疑問に思わないのか気になる」ともやもやが尽きない。

 PTA問題に詳しい文化学園大の加藤薫教授(日本文化論)は「男性の役職が明文化されているケースは聞いたことがない。任意加入を前提の上で、実働班が母親という実態を変えるべきだ」と指摘する。
(中日新聞提供)

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