高校球児に丸刈り必要? 「伝統だから」「野球に専念を」 自由な学校いまだに少数

春の宮城県大会1回戦で勝ち、あいさつする佐沼。手前は東北生活文化大高=5月14日、名取市民球場

 「高校生の息子が、野球は続けたいが丸刈りに抵抗を感じて悩んでいる」。仙台市宮城野区の読者から「読者とともに 特別報道室」に投書が寄せられた。丸刈りは高校球児の象徴であり続けるのか。宮城県内の指導者と県高野連に取材し、頭髪事情を探った。

暗黙のルール

 今春、選抜高校野球大会に初出場した柴田(柴田町)は原則丸刈りが暗黙のルールだ。平塚誠監督(48)は「高校野球に打ち込めるのは2年半の限られた時間。髪形は気にせず野球に集中してほしい」と話す。
 球児が丸刈りにしている複数の高校の指導者らに理由を尋ねたところ、「伝統」「野球に専念してほしい」「競技をする時に丸刈りの方が楽」という答えが返ってきた。ただ、髪形が野球の技術に影響すると考えている指導者はいなかった。
 古川学園(大崎市)も丸刈りが原則。米倉亮監督(37)は「野球に対する姿勢を含めた考え方の問題」とした上で、「学校ごとの判断があり、生徒には学校を選ぶ自由がある」と指摘する。
 学生野球の理念、方針を定めた「日本学生野球憲章」には、頭髪に関する規定はない。県高野連は各校に判断を委ねているが、現状は原則丸刈りが一般的。ただ、野球部で頭髪が自由な学校は増えつつある。
 佐沼(登米市)は2019年秋、丸刈りの伝統を廃止した。練習試合の対戦相手の短髪を見た部員たちが「丸刈りをやめたい」と松井康弘監督(48)に直談判したのが契機となった。
 頭髪の長さに特別な決まりはない。部員間で話し合い「ツーブロックは禁止」「前髪は帽子に入れる」といった最低限のルールを確認した。
 「自発的に丸刈りをやめ、生徒は自信を持ったように見える」と松井監督。自身が小学生の頃は丸刈りが嫌で泣きながら髪をそったこともあるという。「丸刈りでないと野球ができないと思っていた。同じ思いをしている生徒もいるのではないか」とみる。
 今年5月時点で自由頭髪なのは、佐沼の他は仙台一、仙台二、古川黎明(大崎市)など。指導者は「保護者から『丸刈りはいかがか』という声がある」「丸刈りが嫌で野球をやらないくらいなら、丸刈りをやめた方がいい」などと説明する。 

自由化検討の強豪も

 全国屈指の強豪校・仙台育英は丸刈りを原則にしてきたが、自由化を検討し始めた。髪形への抵抗感から入部に二の足を踏む生徒がいるといい、須江航監督(38)は「丸刈りに統一するデメリットが大きくなりつつある。今が転換期なのかもしれない」と話す。
 髪形は古くて新しいテーマになっている。県高野連の松本嘉次理事長は「高野連として何か定めることは考えていない。丸刈りでなければならないということは全くなく、各校で決めてもられえばいい」と語る。
(北村早智里)

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