<高校野球宮城大会 躍進誓う3校紹介>東陵 部員102人 力合わせる

最後の夏に向け、真剣な表情で投げ込む主戦長峰=気仙沼市の東陵高グラウンド

 第103回全国高校野球選手権宮城大会は7日、楽天生命パーク宮城(仙台市宮城野区)で開幕し、71校66チームが甲子園出場を目指して熱戦を繰り広げる。地域や関係者の期待を受け、躍進を誓う3校を紹介する。

 「うちに来てくれた全員に野球を頑張ってもらいたい」。東陵の千葉亮輔監督は10年前、主力中心で行っていた練習内容を全員同じにした。東日本大震災で「野球ができることは当たり前ではない」と痛感したからだ。

 震災当日。当時部長だった千葉監督と選手たちはバスで埼玉県へ練習試合に向かっていた。遠征に帯同しなかった選手たちは市内の高台にあるグラウンドで練習中。副部長だった庄子宗男部長が見守っていた。

 揺れを感じた千葉監督らが気仙沼市に戻れたのは約12時間後。「半日前の街と全く違っていた。あの光景は忘れられない」と振り返る。

 全部員を実家に帰し、生徒不在で迎えた4月1日、それぞれ監督と部長に任命された。庄子部長の第一声は「え、生徒いませんけど?」。2人で静かなグラウンドの整備を続けるしかなかった。

 4月下旬に部活を再開したが「生徒が戻ってきてくれるか分からなかった」と千葉監督。だからこそ、野球がしたくて集まった全員が納得のいく練習に打ち込めるよう心掛けた。部員は現在102人を数える。

 今年6月18日、入部後初の帰省で1年生がいない中、グラウンドで2、3年生が声を掛け合いながら練習に臨んでいた。長谷山主将は「ほとんど全員が寮でも一緒。仲の良さはどこにも負けない」と胸を張る。

 今春の県大会は6試合50得点の猛打で4強入り。以降、集中力を切らさず九回を戦い抜く体力づくりを目指して全員が1日500本をめどに振り込み、走り込みは週1、2回から5回に増やした。

 千葉監督は「際立つ選手がいない分、みんなで力を合わせる意識がある。3年生が良い雰囲気をつくってくれている」と話す。3年生27人は1年時に練習試合で2-26で惨敗した経験もある。悔しさを忘れず地道に努力を続けてきた。

 右腕の主戦長峰は高校で球速が13キロ伸びた。最速145キロの直球を武器に春の県大会5試合に先発し、防御率1・04の好成績を残した。「さらに球速アップを目指す」と意気込む。

 今夏のチームの目標は「甲子園で勝つ」こと。東陵は春夏1度ずつ甲子園に出場したが、いずれも初戦敗退。現チームは昨秋8強、今春は準決勝に進み、県代表の座へ近づきつつある。

 長谷山主将は「最後の大会なので、悔いが残らないように楽しんで思い切りプレーする。甲子園に出場し、今まで支えてくれた人に恩返ししたい」と力を込める。

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る