社説(7/6):東京都議選と各政党/民意と捉えて衆院選に臨め

 衆院選の前哨戦とも目された東京都議選の結果は、有権者の国政に対する評価を一定程度反映していると言える。各党はどう民意を受け止め、衆院選に臨むのか。時間が限られる中、選挙戦略の練り直しなど難しい対応を迫られることになりそうだ。

 自民党にとっては厳しい結果となった。公明党と選挙協力を結び、現有の25議席から8議席増やして33議席を獲得。都議会第1党に返り咲いたものの、両党合わせて56議席にとどまり、目標の過半数(64)に届かなかった。

 伸び悩んだ要因として、新型コロナウイルス感染対策や東京五輪・パラリンピックを巡る菅義偉政権の対応への不満を挙げることができる。

 都内では感染が再拡大しつつあり、11日が期限のまん延防止等重点措置の延長は避けられない状況だ。菅首相が政権浮揚の「切り札」とするワクチン接種も、自治体や企業・大学の希望通りの供給が見込めないなど、ここに来て急ブレーキがかかっている。

 東京五輪で菅首相は観客を入れての開催にこだわり、前のめりとも言える姿勢を見せてきた。だが、感染の「第5波」の到来が現実味を帯びる中、菅首相が言う「安全、安心な大会」の根拠が揺らいでいることへの不安は大きい。

 自公が選挙戦で五輪の問題を避けた一方で、「無観客」を掲げた都民ファーストの会が議席減を一定程度に食い止めたほか、「中止」を主張した共産党、「中止か延期」を公約にした立憲民主党は議席を増やした。五輪に対する有権者の微妙な心理が投票行動に影響を与えたとみることはできよう。

 菅首相は都議選で大勝し、五輪を成功させた上で衆院を解散、総選挙に臨む目算だった。前提の一つが崩れたことになる。

 都議選の結果を受け、菅首相は「冷静にしっかり分析して次に備えたい」と述べた。政権内では「9月前半解散-10月投開票」が有力視されていたが、コロナの感染状況や五輪に対する世論の動向、ワクチン接種の進捗状況によっては、首相の解散戦略に狂いが生じることになる。

 野党では、共産が19議席、立民が15議席で、現有議席を上回った。1、2人区を中心に候補者を「すみ分け」したことなども奏功した。

 共産の志位和夫委員長は「共闘が進んだ。総選挙につなげたい」と選挙協力の協議を加速させたい考えだ。だが、立民の支持母体である連合は反発しており、国民民主党も反共産の立場。立民にとっては、野党共闘実現へ向けて難しいかじ取りが続くことになる。

 都民ファーストは一定の勢力を維持した。今回、この地域政党が獲得した約103万票を、各党は衆院選でどう取り込むのか。民意を読み解き、公約づくりに生かすことが急務となる。

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