社説(7/7):五輪5者協議再開催へ/全て無観客が現実的対応だ

 新型コロナウイルスの感染状況を受け、東京五輪の観客数上限が再び削減される。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が来日するあす8日以降、大会組織委員会と東京都、政府、IOC、国際パラリンピック委員会(IPC)の5者協議が行われる方向だ。

 感染対策などを考えても、全面的な無観客が現実的な対応だ。ただ、一部会場ではまだ、有観客開催での可能性もあるという。開幕まで2週間余りの時点で、スキームが固まっていないこと自体が、大会に関わる関係者の混乱や、多数の国民の不信感を招いていることは言うまでもない。

 6月21日の前回の5者協議で決定した「定員の50%以内で、1万人以内」とする観客の上限は、東京などのまん延防止等重点措置が今月11日で解除されることが前提。希望的観測に基づく「見切り発車」だった。実際、東京などでは感染者数が増加しており、政府はあす、措置の延長を決定する見込み。重点措置の下では「5000人以内」が上限だけに、「1万人」は入れられない。

 措置対象のさいたま市などはイベント開催を午後9時までとしている。バスケットボール、サッカーなどは夜間の開催について、首都圏の関係自治体が無観客を要請。「五輪も社会の一員」と組織委の橋本聖子会長が言うだけに特別扱いはできない。

 一方で、JR東日本など鉄道各社は、深夜帯の臨時列車運行を発表。首都圏だけでなく、仙台を午前1時に出発し、午前4時台に東京に着く東北新幹線など異例のダイヤも組まれた。

 ちぐはぐな対応は組織委内も同様だ。販売したチケットが1万枚を超える大規模会場分について、再抽選を行い、6日未明に発表する予定だったが、10日に延期された。

 観客の扱いが決まらないことで、チケット保有者はもちろん、ボランティアや交通、宿泊業者ら、多くの関係者が中ぶらりんの状態だ。

 前回の5者協議以降、組織委、都、政府とも「感染状況により、無観客を含めて見直す」などと発言。「危うさ」を当事者も認識しながら、有観客を前提に準備が進められてきた。

 有観客での開催は、菅義偉首相の政権浮揚への思惑があるとも言われる。屋内会場や日中の競技などでは、チケット販売分が、重点措置での上限の5000人を超えていないものもある。そうした競技で、部分的に観客を入れる可能性はなおも残されている。

 それでも、感染症の専門家らが指摘するように、「無観客開催が最も感染リスクが低い」ことは自明の理だ。

 「5者協議」という民主的なようで責任が曖昧な形での決定が、混乱や不信を拡大させてきたのではないか。今回も、その繰り返しにしてはいけない。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る