デスク日誌(7/8):一人ずつ一つ

 かつて夕刊で連載していた「100万人の輪」。2003年10月から11年5カ月、リレー形式で仙台圏の2960人が登場した。

 もしかしたら100人を超えるのかもしれない。取材を通し、たくさんの人と出会った。

 ある男性は姓の「澤」を「四」つの「幸」と字解。名前の通り、周囲を幸せにしたいと話した。前向きで快活な人だった。

 ところが、新聞の用字用語は澤を新字体の沢に直すのがルール。それでは彼の思いが伝わらない。

 「本人の強い希望があった場合は異体字も可」という例外規定を適用し、澤の字解のエピソードを記事に盛り込んだ。

 他にも應(応)﨑(崎)剱(剣)栁(柳)などが、原則として紙面で使うことができない。

 そもそも、愛着や誇りがこもった固有名詞を、こちらの都合で書き換えていいのだろうか。そんな疑問を今も引きずっている。

 氏名は、自ら選び取ったわけではないけれど、縁あって生涯を共にする。表記だけではなく、読み方もさまざま。大切にしたい。素晴らしい名前を。
(コンテンツセンター部次長 伊東由紀子)

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