社説(7/9):都に4度目「緊急事態」/名ばかりにしてはならない

 新型コロナウイルス感染対策で4度目の緊急事態宣言が東京都に出されることになった。1年延期になった東京五輪は、緊急事態の下で全日程が行われる。

 前回の宣言は4月25日が起点だ。延長を2度繰り返し、6月20日に解除され、まん延防止等重点措置に移行した。4度目の発令は8月22日を期限にしており、東京は延々と4カ月近く、コロナ対応の特別措置法が発動されることになる。

 感染防止へどれほどの効果が見込めるのだろうか。飲食業界の経営難に拍車をかけるだけにならないか。実効性に対し、懐疑的にならざるを得ない。

 重点措置が十分機能しなかった。都の新規感染者数は今月7日、920人に跳ね上がり、宣言解除後の最多となり、18日連続で前週の同じ曜日より増えた。人口10万人当たりの1週間の新規感染者数は30人を超え、宣言発令の目安で感染爆発を示すステージ4(25人)を上回っている。

 感染者が増えても、重症化を抑えるワクチン接種が進めば病床使用率は落ち着く。確かに、先行する65歳以上の高齢者はワクチン効果が認められるものの、入院者や重症者は、接種者が少ない40~50代で目立つのが最近の特徴だ。

 重症者用の病床使用率は40%近くに上昇し、ステージ4の50%以上に近づいている。ワクチンが普及していない以上、感染の入り口を絞らない限り、医療供給体制は再び逼迫(ひっぱく)すると見込まれよう。

 インドで確認された感染力が強い変異株「デルタ株」は、五輪が開幕するころには感染の7割程度を占めると国立感染症研究所は推計する。

 祝祭ムードをまとう五輪が人の流れを誘発し拡散させるのは間違いない。宣言を名ばかりにしないためには、五輪を例外扱いしてはならない。

 国と都のメッセージが空回りしている。若者を中心に切迫感を持って受け止めてもらうよう、心に響くための方策を練り直さなければ、宣言の効力は期待できまい。

 発令に伴い、酒類提供店は午後8時までの時短営業から休業へ逆戻りを強いられる。

 自治体からの要請を受け入れた見返りに協力金が支払われる仕組みだが、営業すれば得られたはずの利益を補償する制度設計になっていない。支給が遅れる例も続出し、資金繰りを圧迫している。

 協力金による事業者支援は限界があり、長期に及ぶコロナ禍では有効打にならない。要請に応じない飲食店が出るのは、支援が安全弁として機能していないためだ。そうした店が多数出れば、宣言は尻抜け状態になる。

 活路を見いだせない自転車操業が6週間も延長される。政府は窮状を目の当たりにしながら、いつまで手をこまねくのか。救済の在り方を見直し、休業に見合う制度に即刻切り替えるべきだ。

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