<仙台いやすこ歩き>(144)瑞巌寺杉道市/個性的な出店 にぎわう

 海岸通りを歩きながら、「ずいぶんと人が戻ってきたね」と画伯。去年5月に来た時は、ほんとに人っ子一人いないに近い状態だったのを思い出し、2人はにっこりする。

 いやすこがやってきたのは、宮城県松島町の瑞巌寺で月1回開かれている「瑞巌寺杉道市(さんどういち)」。「もともとは瑞巌寺の杉並木沿いで開いていたのですが、工事の関係で今はこの場所なんです」と教えてくれたのは、杉道市の実行委員長を務めるセレクトショップ「M Pantry」の鈴木幸太郎さん(41)で、市は成長する杉の若木が並ぶ先の、看門前で行われていた。

 杉道市が始まったのは2014年で、町の観光協会によるスタートだったそう。だが、津波被害に遭った杉並木を新たに作りだすための工事で中断。「どうにか再開させたいと、19年に観光協会から引き継ぐ形で再開となりました」

 きょうの出店は17店。それがみな個性的なのだ。いやすこの2人は、まずは一巡り。テンガロンハットのマークの古書店は大崎市古川からの参加。「一昨年から、最初はものの試しにと出したんだよ。コロナ前は観光客も多かったから、昭和30、40年代の絵はがきが売れたよ。お城のはがきは外人さんに人気だったね」。その隣は七味をすってオリジナルブレンドにして売るお店。「七味はもともと漢方薬。粒状ではなく粉なので、例えば湯で割ってコーヒー感覚でも飲めて、冷え性に効くんだ」といった口上に、女性グループも早速お買い上げだ。

 さらに進むと、古代米を使ったスイーツ屋さん、生味噌(みそ)を売るお店、コットンの苗木の店など、いずれも地元の若い女性が店主。さらに、それぞれが作った野菜と古布ぞうりを仲良く並べたご夫妻。ワカメ、コンブで有名な石巻の十三浜からは漁師さんも出店していて、取れたてのウニや自家製ホヤの塩辛も販売。密にならない程よい人の流れなので、出店者と話せるのも市の楽しみだと実感した。

 そして驚いたことに、瑞巌寺さん自らのテントも。「杉道市の日だけの特別な御朱印、行事で使っているお茶もあります」と話すのは、僧侶の梅澤竜潭(りょうたん)さん(36)。1000円以上のお買い上げの場合、執事長さんが孔雀(くじゃく)の間を案内してくれるという特典付きで、この特典は、毎回異なるのだそう。「瑞巌寺さんは場所を提供してくれるだけでなく、協力以上のバックアップもしてくれるんですよ」と鈴木さん。そんな会話をしている前を、浅草で修業したという青年が人力車を引き、門を振り返れば宇都宮から来たという修学旅行生たちの姿も。一気ににぎやかな杉道交差点になる。

 二巡りしたいやすこのバッグには海産物からマフィンまで。さらには「M Pantry」のカキせんべい「カキとコメと」を食べ、海の香りを楽しみながら帰途へ。

 家に帰れば、地元のお米屋さんの出店で買ったあなごおこわは「極うま」で、おやつは瑞巌寺さんのお茶と米粉スイーツがぴったり。今夜のおかずは海産物と、杉道市満喫の一日である!

おぼえがき/慈母地蔵菩薩のご開帳も

 松島町の瑞巌寺杉道市は月1回、毎月24日に近い日曜日の開催となっている。その日は、参道途中の瑞巌寺に向かって左手にある復興地蔵堂に安置された、「慈母地蔵菩薩(ぼさつ)」の月に一度のご開帳の日でもある。

 6月24日は瑞巌寺を再建した伊達政宗の祥月命日でもあることから、この開催日となった。

 復興地蔵堂は、東日本大震災の際に、参道の4分の3まで津波がきたという地点に建立されたお堂だ。昔から瑞巌寺の象徴でもあった森閑とした趣を生みだしていた杉並木も、津波による塩害のため、約700本が伐採されている。そして、今は年輪を刻んだ太い切り株のそばに、若木が背を伸ばしつつある。

 市の開催時間は午前10時~午後4時で、冬季の12~3月は休みである。7月の開催日は25日。台風や豪雨でない限り、多少の雨なら開催するとのこと。

 アクセスは、JR仙石線の松島海岸駅から徒歩で約8分。

 土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。

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土地にはその土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター・みうらうみさんとイラストレーター・本郷けい子さんが仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。

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