(12)ところどころ「ラヴ」と聞こえし夏念仏/工藤 玲音(1994年~)

 たまにちりんと鳴る風鈴、ぶうーんと回る扇風機、念仏だけが朗々と…と、ここまでなら普通。だが掲句のように言われるともう、良いお声のお念仏であるほど、「ナームアーミダーブ」の「ダーブ」はloveとしか聞こえなくなる。読者の信心に身が入らなくなったら御免なさい。作者は平成6年生まれ、本日選考される芥川賞の候補作「氷柱の声」の著者。3・11をテーマにした青春小説で、やはり音を書き込む文体が特徴的だ。「むじな 二〇二〇」より。(浅川芳直)

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら
秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


企画特集

先頭に戻る