(13)飼へぬかもしれぬ金魚を掬ひけり/鶴岡 加苗(1974年~)

 金魚掬(すく)いの屋台には、1畳ほどの小さなプールが置かれ、小さな金魚があちらこちらへ泳いでいます。その中の1匹をなんとか掬うことができましたが、帰る家には金魚鉢も水槽もなく、家族が飼うことを承諾してくれるかも分かりません。はたして私は、この命に責任を持って向き合えるのでしょうか。そんなためらいが感じられます。楽しい夏祭りでの小さな背徳感とも言えるでしょう。切れ字「けり」にその微妙な気持ちが託されています。句集『青鳥』より。
(及川真梨子)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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