社説(7/15):東北で進む地銀再編/地域経済再生 けん引役に

 人口減少の加速や超低金利の長期化で厳しい経営環境にある地方銀行が、東北でも再編に向けた動きを本格化させている。政府支援の強化に伴い、生き残りを懸けるなら少しでも早い方が良い、との判断があるのだろう。

 東日本大震災からの復興も途上にある中、各行の足取りがふらついていては元気な東北の未来は描けない。経営を効率化して体力を養い、コロナ禍で疲弊した地域経済の再生に向け、十分に役割を果たしてもらいたい。

 荘内銀行(鶴岡市)と北都銀行(秋田市)を傘下に持つフィデアホールディングス(HD、仙台市)と東北銀行(盛岡市)は2022年10月の経営統合に向け、協議を進めることで基本合意した。東北銀がフィデアHDの完全子会社となる方針だ。

 統合によりフィデアHDは岩手、秋田、山形各県のトップ行を上回る規模となる。3行が営業ノウハウを共有し、それぞれの取引先を結び付けられれば、県境を越えたビジネスマッチングや合併・買収による事業承継などのニーズに対応できそうだ。

 一方、青森銀行(青森市)とみちのく銀行(同)は24年4月の合併に向けて経営統合の協議に入っている。

 実現すれば青森県は地銀1行体制となる。競争がなくなることでサービスの低下を懸念する声もあるが、長年ライバルとしてしのぎを削ってきた両行だけに、隣り合わせの店舗やATMが多くあり、統合・整理によるコスト削減効果は大きい。

 加速する地銀再編の背景にあるのが、政府による支援策の相次ぐ強化だ。

 昨年11月には、同一地域内の地銀が統合して寡占状態になっても、一定の条件を満たせば独占禁止法を適用しない特例法が施行された。青森銀とみちのく銀は統合後に県内貸出金シェアが7割を超える見通しだが、この特例法の初適用を目指している。

 統合に踏み切る地銀の費用負担を軽減する改正金融機能強化法も近く施行される予定だ。システム統合などの費用が最大30億円まで補助される見通しで、フィデアHDと東北銀も、この法律に基づく資金交付制度の活用を検討している。

 リーマン・ショック後に受けた公的資金の返済期限が迫っていることも一因だ。フィデアは25年、みちのく銀は24年に期限を迎える。マイナス金利などで、長く収益環境が悪化しているだけに、単独での返済は体力低下に直結する恐れがあった。

 資金需要の急回復が見込めない中、これまで以上に求められるのは、デジタル化への対応や新分野の開拓、事業承継などの課題解決に向け、伴走者として寄り添う姿勢だ。

 地銀の生き残り策は、地域の中で見いだされてこそ本物と言うべきだろう。新たな挑戦に期待したい。

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