岩手、宮城、福島の水揚げ5~7割止まり 震災前の水準戻らず

 岩手、宮城、福島3県にある主要魚市場の水揚げ量が東日本大震災前と比べ5~7割で頭打ちになっていることが各県の統計で分かった。漁港や漁船の復旧で水揚げ体制は平時に戻りつつあるが、全国的な不漁の波にのみ込まれて再び苦境に直面している。サンマやサケなど主力魚種の不振は今後も続くとみられ、各県は対応を迫られる。

サンマや秋サケ不振

 水揚げ量の推移はグラフの通り。岩手は2014年に震災前の7割まで回復した。ただ、15年以降は不漁に陥り徐々に減少。20年は10年比49・7%(7万2097トン)に落ち込んだ。

 年間30万トンの水揚げを誇った宮城は11年、9万6802トンと激減。13年には20万トン台を達成しながらその後は伸び悩み、20年は10年比73・3%(22万9201トン)だった。

 東京電力福島第1原発事故を受け、12年6月に試験操業が始まった福島は漁場が県沖に限られたことが響き、13年は震災前の3分の1に減った。放射線量の低下などで水揚げは徐々に上向きつつあるものの、20年は10年比68・3%(7813トン)にとどまった。

 魚種別ではサンマや秋サケが取れず、3県でいずれも震災前の1~2割の水準に低迷。宮城のサンマ水揚げ(20年)は10年比18・9%の9718トンだった。

 不漁は全国的な傾向で、事態を重く見た農林水産省は「不漁問題に関する検討会」を設置。サンマやサケの漁獲が減った要因を6月、報告書にまとめた。

 サンマは10年ごろ、海面水温の上昇で回遊経路が突如、沖合化し、プランクトンの密度が低い環境下で死亡率が上昇。サケは13年ごろから稚魚が育つ適水温の期間が短くなり、生残率が悪化したと分析した。

 「資源変動は長期に続く可能性がある」との見通しも示され、各県は水産業の維持に向けた独自の取り組みを進めている。

 岩手は資源が増えているマイワシに着目し、特例的に小型サンマ漁船にマイワシ漁操業を許可する実験を19年に開始した。県水産振興課は「沖合に出なければ燃料代が節約できる。マイワシ漁を本業にする漁業者の理解を得ながら模索を続ける」と説明する。

 宮城は3月、今後10年間の水産業の在り方を示した基本計画を策定した。情報通信技術(ICT)の活用で効率的に漁獲し、生産性の向上を目指す。県水産業振興課は「水揚げ量の急激な回復は難しい。収益をどう確保するか発想の転換が必要だ」と強調する。

 福島は3月で試験操業が終了し、今後は本格操業に切り替える。県水産課は「漁場を増やせるよう他県との調整を進める。原発処理水の海洋放出の影響も注視していく」という。

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