(19)夏帽が見え逞しき顔が見え/佐藤 海(1959年~)

 夏帽はつばの広い麦藁(むぎわら)でしょう。まず帽子、次に日焼けした逞(たくま)しい顔見えます。白い歯も覗(のぞ)いたかもしれません。炎天下の作業中でしょうか、きっとこちらの声掛けに振り向いたのでしょう。帽子と顔、それだけ見えたとしか語られていませんが、動画のワンシーンのように映像を思い浮かべることができます。最後の「見え」に続くのは何でしょうか。夏帽の人の声でしょうか。背後の夏山でしょうか。それはあなたが決めていいのです。句集『瞳の色』より。
(及川真梨子)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


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