(20)野馬追の雨の百騎の中の吾子/田中 一荷水(1925~2007年)

 勇壮で美しい句だ。相馬野馬追はどんな荒天でも決行される。元々が練武、調馬の行事。侍魂が駆ける。その中に息子がいる。立派に育ち晴れがましい気持ちだ。「の」の畳みかけは、大景から子へズームインしてゆく効果がある。野馬追が現在の7月の最週末に開催されるようになったのは50年ほど前から。炎天下のイメージが強いが、元々は出陣のうた「相馬流れ山」にあるように「5月中の申」(今の6月下旬)と梅雨の時季だった。句集『刻々』より。
(永瀬十悟)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


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