社説(7/24):衆院任期残り3カ月/社会の矛盾 目を凝らしたい

 衆院議員の任期満了(10月21日)まで、残り3カ月を切った。解散の機運は一向に高まらず、争点も見えてこない。菅義偉内閣の支持率は低下しているが、政権を支える自民党や、対峙(たいじ)する野党の動きは鈍い。公示の時期ばかりが刻一刻と迫っている。

 新型コロナウイルスの重苦しい霧に覆われ続け、国政の課題がほぼコロナに一極化された状況の中、足元の社会に目を向ければ、言いようのない矛盾に満ちている。

 感染再拡大が進み、東京に4度目の緊急事態宣言が出されたにもかかわらず、東京五輪は幕を開けた。五輪開催の切り札として政府が大号令をかけたワクチン接種の加速は、供給不足の不手際を露呈したままだ。

 経済を見ても、国の2020年度の税収が一部大企業の好調な業績で過去最高を更新する見通しの一方で、コロナ禍で売り上げ減少に陥った飲食店などの廃業が相次ぐ。本来ならば事業者の支援を第一に考えるべき時に、金融機関や酒類販売業者を通じて「圧力」をかけようとした国の姿勢は象徴的だ。

 国政選挙の先行指標とされる今月の東京都議選は、迷走する政治の状況を如実に示したものだと言えよう。

 4年前の選挙で小池百合子知事が創設した地域政党「都民ファーストの会」に惨敗を喫した自民は今回、都議会第1党に復帰したものの、獲得議席は見込みを大きく下回り、「敗北」に終わった。議席を伸ばした立憲民主党も政権批判票の大きな受け皿になったとは言い難い。

 主要な争点だった新型コロナ対策は、PCR検査やワクチン接種態勢の強化、経済対策といった主張が似通い、違いが見えにくかった。過去2番目に低い42・39%に落ち込んだ投票率は、具体的な選択肢を提示できなかった政策論争にも原因があった。

 衆院選を控え、菅内閣は窮地に立たされている。報道各社の世論調査で支持率は軒並み下落し、昨年9月の政権発足以降で最低となった。「選挙の顔」として不安視する声が党内に広がっている。

 政権奪取の好機にもかかわらず、野党も心もとない。立民と国民民主党は共産党との連携強化を巡って対立。連合が立民、国民と3者で結ぶ政策協定を断念するなど、一枚岩になるのは困難だろう。

 次期衆院選を意義ある選択の機会にするには、有権者自身が現状に目を凝らすしかない。本質を見極める視点を磨くことが一層求められる。

 コロナ下で見えづらくなっている東日本大震災や東京電力福島第1原発事故からの復興、進む人口減少と高齢化、疲弊した地域経済、国債発行で膨らんだ長期債務残高-。争点を何に求め、望ましい統治の仕組みをどう考えるか。政治を動かすために、有権者が主体的に考え、積極的に発信する必要がある。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る