(21)滴りのこの世に出でし光かな/世古 諏訪(1928年~)
「滴り」が夏の季題。山の岩壁や苔(こけ)から滴る水の涼感は何とも言えない。間違っても水道の水滴のことではない。岩と岩の隙間から新たな命として膨らんでゆく滴りの様子をふっくらと写生している。岩肌の滴りというのみならず、この世に出でし全ての者への応援歌のようだ。昨日開幕した東京五輪の選手の躍動を重ねて…
関連リンク
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