市民サイクリスト出身の金子「報われた」 自転車女子ロード

女子個人ロードレース 43位でゴール、表情に達成感をにじませた金子

 25日にあった東京五輪自転車女子ロードレースに初出場した宮城県亘理町出身の金子広美(イナーメ信濃山形、福島・白河二高出)が、137キロのコースを駆け抜けた。市民サイクリスト出身で遅咲きの40歳は、こつこつと力を付け世界と戦うまでになった。「声援が力になった。報われた」。ゴール後の表情には死力を尽くした達成感がにじんでいた。

 幼少期から生活の全てを競技にささげるアスリートが多い中、半生は自転車と無縁だった。亘理町亘理中時代は陸上部。マラソンや駅伝に出場していたとはいえ「走るのが好きという趣味のレベル」。高校はスポーツと縁がなかった。

 自転車に出会ったのは24歳。マウンテンバイク好きの哲志さん(49)との結婚が機だった。そばで応援するうちに興味が湧き、山道を駆け上るヒルクライムの大会に出るようになる。でも全くの初心者。給水ボトルを取れず、ギアチェンジもできなかった。

 数年後、ヒルクライムと同時開催されていたロードレースに興味本位で出場した。「集団の中のどこを走るか、どこでギアを上げるか、駆け引きが楽しい」。一気にのめり込んだ。

 生真面目な性格は、孤独な練習を強いられる競技に向いていた。ヒルクライムで鍛えた上り坂での強さを武器に、めきめきと力を付けた。

 五輪代表が確実だった昨年、新型コロナウイルス禍に見舞われた。社会が五輪開催の賛否に揺れる中「自分でどう対処したらいいか分からない。気持ちの波があった」。選手に心ない批判が向けられることもあった。哲志さんは大会前「『五輪に出場します』『こんな練習をしています』と言うことさえ悩んでしまう」と語っていた。

 戸惑いながら歩み、迎えた本番。世界を相手に43位と奮闘した。「選手はやるべきことをやるしかない」。そう語っていた通り、それまでの迷いを振り払うかのような力走に見えた。
(佐藤夏樹)

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