一力遼の一碁一会 「リーグ入り最終予選」 「黄金のイス」巡る争い

一力遼の一碁一会

 井山裕太本因坊(32)に芝野虎丸王座(21)が挑戦した第76期本因坊戦7番勝負は、4勝3敗で井山本因坊が防衛、10連覇を達成しました。挑戦手合と並行し、来年の挑戦権を得るための戦いも始まっています。

 本因坊戦や名人戦は、予選のトーナメントを勝ち上がるとリーグに入ることができます。リーグは総当たりで行われ、最も成績が良かった人がタイトル保持者に挑戦できます。

 500人近くいる棋士の中で、リーグで戦えるのは本因坊戦で8人、名人戦で9人のみです。また、低段の棋士でもリーグに入ると七段に飛び級昇段できます。そのため、リーグ入りを決める最終予選は「黄金のイス」を巡る争いなのです。

 本因坊戦で、リーグに残留できるのは半分の4人だけです。4勝3敗でも陥落することがある、厳しい戦いです。最終予選は、予選を勝ち上がった棋士と陥落した棋士による残り4枠の争奪戦となります。

 私が初めて最終予選の決勝に進んだのは2013年の名人戦で、16歳、三段の時でした。相手の黄翊祖(こういそ)八段(当時)はリーグの常連です。途中までは優勢を保っていましたが、後半で勝ちを意識してしまい失速。悔しい逆転負けでした。

 次のチャンスは14年の棋聖戦でした。決勝で当たった張栩(ちょうう)九段は、13年まで棋聖位を保持していたトップ棋士です。この時は前年の反省を生かして最後まで気を緩めず勝ち切り、四段から七段へ昇段を果たすことができました。

 本因坊戦では15年に初めてリーグに入りましたが、名人戦では決勝で負けることが多く、あと1勝が遠かったのです。4度目の決勝となった19年の相手は、藤沢里菜四段(当時)でした。女流棋士のリーグ入りは今までなく、注目を集める対局となりました。この勝負を制し、名人戦リーグ入りという7年越しの悲願を達成しました。

 今年の本因坊戦では、福岡航太朗二段(15)がリーグまであと2勝としています。リーグ入りを果たし、私の持つ最年少記録(16歳9カ月)を更新することになるでしょうか。

 また、かつて女性初のリーグにあと1勝まで迫ったことがある鈴木歩(あゆみ)七段(37)は、敗れたものの準決勝まで進みました。今後、女性のリーガーが誕生するかどうかも注目です。
(囲碁棋士)

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