フクヒロ、けがに涙 「自分たちらしく」最後まで バド複4強逃す

女子ダブルス準々決勝。プロテクターを着けて臨む広田(右)と福島

 一時は立てないかと思うほどの大けがを押しての出場だった。

 東京五輪バドミントン女子ダブルスで、世界ランキング1位の福島由紀(青森山田高出)広田彩花組(丸杉Bluvic)は6月に広田が右膝の全十字靱帯(じんたい)を損傷。懸命のリハビリで出場にこぎ着けて1次リーグを勝ち上がったが、準々決勝を戦うには限界があった。

 広田の右脚は太ももから膝元まで、黒いプロテクターが広範囲を覆う。五輪後には手術が決まっているほどのけが。可動域が大きく制限され、前後左右、はしから見てもステップがぎこちない。痛みが走ることも「何回かあった」。コートに立っていること自体が不思議なほどだった。

 広田が動けない分、福島は必死でコートを駆け回った。「広田が取れないところは自分が絶対に取ると覚悟していた」。圧倒的な運動量と反射神経があるからこそ試合をつなげられた。

 大会前の世界ランクは1位。永原、松本組とともに、金メダルの有力候補だったが、2013年のペア結成当初は結果が出なかった。

 2人とも熊本県生まれ。1歳年上の福島が一方的にプレーについて要求し、おとなしい広田は何も主張しない。16年に一度解散し、互いの良さを思い知った。3カ月後に再結成。福島は広田の言葉に耳を傾けるようになり、広田は自分の意見を話すようになった。

 2人の口癖は「一試合一試合、自分たちらしく」。膝を痛めた後の7月にもそう語っていた。

 感極まって泣いたが、後悔の涙ではない。福島は「最後まで諦めず、楽しんでプレーしていることは伝えられた」と胸を張る。できるだけのことはやった。最後は笑みを浮かべていた。
(佐藤夏樹)

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