社説(7/31):日本の成長予測悪化/立て直しへ 原因分析急げ

 国際通貨基金(IMF)は27日に発表した世界経済見通しで、2021年の日本の実質経済成長率を前回4月時点の予測から0・5ポイント下方修正し、2・8%とした。
 先進7カ国(G7)で予測が悪化したのは日本だけ。新型コロナウイルスのワクチン接種の遅れが経済正常化の足かせとなっているのは明らかだ。欧米各国で制限緩和が進む中、日本の「一人負け」が際立ってきた。
 IMFは下方修正の理由について、東京五輪の首都圏会場が無観客となった影響は小さいものの、緊急事態宣言などの繰り返しによる行動抑制や飲食店への営業規制が大きく響いたとしている。
 足元ではワクチンの供給不足を巡る混乱が続き、接種に消極的な層も一定数いるとみられる。経済の足踏み状態が想定より長引く懸念が強まっている。政府にはワクチン接種の加速はもちろん、経済への悪影響を最小限にとどめる効果的な感染対策の立案、実施が求められる。
 IMFは21年の世界の成長率見通しを前回予測と同じ6・0%に据え置く一方、22年についてはワクチンの普及を前提に前回から0・5ポイント引き上げ、4・9%とした。
 成長をけん引するのは米国だ。ワクチン接種の拡大で21年、22年の成長率はそれぞれ7・0%、4・9%と予測。前回から0・6ポイント、1・4ポイント上方修正した。ユーロ圏もそれぞれ0・2ポイント、0・5ポイント引き上げ、4・6%、4・3%とした。
 出遅れた日本もワクチン接種が進む21年後半からは「より強い回復」が見込まれ、22年は前回を0・5ポイント上回る3・0%と予測。それでも先進国では21年、22年ともに最も低い成長率にとどまる。
 政府の7月の月例経済報告でも、ユーロ圏の景気判断を1年ぶりに上方修正する一方、国内の現状判断は据え置いた。米国、欧州、中国を含む主要な4カ国・地域のうち、「弱さ」の表現が残るのは日本だけだ。
 明暗を分けているのがワクチンだ。英大学の研究者らが運営するアワー・ワールド・イン・データによると、国民全体のうち接種を完全に終えたのは英国やドイツ、米国で半数程度なのに対し、日本は約25%と開きがある。
 繰り返す感染拡大の波と、緊急事態宣言など経済活動を抑える措置のいたちごっこが続き、国内経済はほとんど回復軌道に乗らないまま21年を折り返してしまった。
 政府は国内総生産(GDP)が21年中にコロナ前の水準に回復するとのシナリオを描いているようだが、楽観は禁物だ。先行する米国などが想定より早く金融引き締めなどに踏み切れば、大きな打撃を受けかねない。
 感染防止策と経済対策の両立は、これまで失敗続きだった。原因を分析し、立て直しを急がなくてはなるまい。

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