帰還困難区域の634人に10億円 福島地裁支部、国・東電に賠償命令

 東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域に指定された福島県浪江町津島地区の住民640人が、国と東電に地区全域の空間放射線量低減と慰謝料約260億円の支払いなどを求めた集団訴訟の判決で、福島地裁郡山支部は30日、国と東電の責任を認め、634人に計約10億円の支払いを命じた。線量低減の請求は却下した。原告側は控訴する方針。

 佐々木健二裁判長は、長期避難で原告らの帰還が困難になったとした上で「東電から支払われた慰謝料額は不十分」と指摘。1人当たり約120万~150万円の支払いを命じた。原告6人については居住実態が認められないとして請求を棄却した。

 判決は2002年に公表された津波地震予測「長期評価」の信用性を認め、「敷地高を超える津波を予見できた」と判断した。建屋の脆弱(ぜいじゃく)性も認め、経済産業相が規制権限を行使しなかったのは「著しく合理性を欠く」とした。東電についても「長期評価に基づいて調査する義務を怠り、対策に着手しなかった点で非難に値する」と言及した。

 線量低減については「作為義務が特定されていない」とした。

 原告側弁護団によると、国を被告に含む同種訴訟の地裁判決は17件目で、国の責任を認めたのは9件目。原子力規制庁は「判決内容を精査し、関係省庁と協議して対応方針を検討する」、東電福島復興本社は「判決内容を精査して対応を検討する」と、それぞれコメントした。

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