「山が落ちるなんて」恐怖今も 新潟・福島豪雨から10年

新潟・福島豪雨で山が崩れ、男性が行方不明になった現場=2011年7月31日、只見町黒谷(平山さん提供)
現在の現場付近=21年7月

 振り向いて亀裂が目に入り、大声を上げた瞬間の出来事だった。2011年7月の新潟・福島豪雨から10年。福島県只見町黒谷の無職平山秀夫さん(72)は、目の当たりにした土砂崩れの状況を今でも忘れない。平山さんは「水の怖さ、大雨の怖さを知らなかった。山が落ちるなんて思わなかった」と、想像できなかった自然災害の恐怖をかみしめる。

 11年7月29日午後、平山さんは雨の中、地域を流れる川のそばに住む60代男性らと一緒に、堤防に土のうを積んでいた。川は増水し、28日夜には土砂災害警戒情報が出ていた。

 平山さんが男性と擦れ違い、数メートル歩いて振り向くと近くの山に亀裂が見えた。平山さんが大声を上げた瞬間、山が崩れた。幅は20メートルほど。男性は土砂に巻き込まれ、今も見つかっていない。

 平山さんは恐怖で足が動かなかった。何とか近寄り、くわで土砂をよけようとしたがどうにもならない。「土砂の端は足元近くに迫っていた。運が良かった」。当時、妻の実家に引っ越してきて1年ほど。穏やかな山川は一変していた。

 福島県のまとめでは豪雨で1人が行方不明となり、全壊33棟を含め500棟を超える住宅被害があった。今年7月にあった静岡県熱海市伊豆山の大規模土石流など、以降も各地で雨に伴う災害が相次ぐ。「避難を促す情報が出たら、すぐに迅速な避難行動を起こすのが一番」。平山さんは一人一人の素早い判断を呼び掛ける。

[新潟・福島豪雨]停滞した前線に湿った空気が入り、2011年7月27日正午から31日午前0時までの気象庁観測の降水量が福島県只見で680・0ミリを記録するなどの大雨となった。当時の平年7月の月間降水量の2倍以上の雨が3日半で降った。道路の寸断で檜枝岐村などで住民が孤立。被災したJR只見線会津川口-只見間27・6キロはバスの代替輸送が続き、22年度の再開を予定する。

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