土石流から命を守るには? 災害情報を活用し、早めの避難を

 静岡県熱海市伊豆山で3日、大規模な土石流が発生しました。流失した家屋は少なくとも130棟。4人が亡くなり、安否不明者の確認作業が行われています。ツイッターに投稿された土石流の動画には、濁流が木造家屋を押し壊しながら、すさまじい勢いで谷を下る様子が映っていました。山津波とも呼ばれる土石流のスピードと破壊力を見る限り、命を守るには早めの避難が肝心です。
(防災・教育室 須藤宣毅=防災士)

 通信技術の発達などにより、現在は住民が行政機関と同様に、災害関連情報を入手できるようになりました。今回、熱海市は避難指示を発表していませんでした。インターネットで事前に自宅周辺の災害リスク情報を確認したり、悪天候の時は注意報や警報、土砂災害警戒情報を小まめにチェックしたりして避難を始めれば、避難情報がなかった際の逃げ遅れの予防にもつながります。

 被害があった地域について、静岡県は土石流の危険が及ぶ恐れがあるとして、土砂災害警戒区域に指定していました。指定に伴い、市町村はハザードマップを作成し、避難態勢を整える必要があります。

 被災現場のような傾斜が急な渓流は、熱海市に限らず山間地なら全国どこにでもあります。土石流の土砂災害警戒区域の指定状況は今年3月現在、全国で21万711カ所。東北6県は青森1157、岩手5427、宮城3435、秋田4130、山形2177、福島3380を数えます。

 市町村のハザードマップのほか、パソコン、スマートフォンを使えば、国土地理院のウェブサイト「重ねるハザードマップ」でも警戒区域を調べられます。土砂災害のアイコンを選び、暮らしている市町村名を入力すると「土石流」「土石流危険渓流」のほか「急傾斜地の崩壊」「地滑り」の警戒区域が色で表示されます。別に洪水、高潮、津波の災害リスク情報も表示できます。

 大雨になると、降っている雨に関心が向きがちですが、土壌に含まれる雨にも注目してください。雨が降り続くと、小康状態になっても土砂災害の危険度が高い状態のことが、珍しくないからです。熱海市では雨脚が弱まった3日午前3時から4時にかけて、危険度が最高レベルになりました。

 降っている雨と土壌に含まれる水分量の予測値から発生リスクを割り出す土砂災害の危険度分布が、気象庁ウェブサイトの「土砂キキクル」で確認できます。地図上に「極めて危険」「非常に危険」(速やかに避難)「警戒」(高齢者は速やかに避難)「注意」「今後の情報等に留意」の5段階に色分けして表示されます。

 「重なるハザードマップ」「土砂キキクル」を使えば、遠くで暮らす家族の住居の周辺に、どんな災害リスクがあるのか調べられます。災害リスクが高まった時は、電話で早期避難を呼び掛けるリモート避難誘導もできます。逃げるかどうか、判断に迷っている時、家族の言葉はきっと背中を押すでしょう。

 高齢者をはじめインターネットに不慣れな人は、災害情報から取り残される可能性があります。高齢者は移動に時間がかかる分、避難開始のタイミングは重要です。子や孫が災害情報を入手して早い段階で避難を促せば、余裕を持って動き出せます。

 早めの避難には、情報収集だけでなく、避難先や避難経路の確認、避難開始のタイミングなどを家族で話し合うことも大事です。浸水後や日没後の避難は危険を伴うので、特に幼児や高齢者がいる場合は大雨になる前、明るいうちに自主避難すべきでしょう。また区域外に移動できない事態を想定し、避難先になりそうな頑丈で背の高い建物を見つけておくと安心です。

 豪雨災害への備えを時系列で決めておく行動予定表「タイムライン」を家族で作成すれば、これらの要素を全員で共有できます。また前もって避難のルールを決めておくことにより、避難情報だけに頼るのではなく、住民が自ら判断し、逃げる意識も生まれるはずです。

国土地理院「重ねるハザードマップ」
気象庁「土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)」
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