原発事故がコロナ対策にも暗い影 福島・相双地区の病床逼迫

原発事故まで地域医療の中核を担った県立大野病院。県は再開時期を示していない=昨年3月、大熊町

 新型コロナウイルスまん延防止等重点措置適用が決まった福島県で、南相馬市などを含む相双地区の病床使用率が県内最悪の水準となり、関係者の不安が増している。東日本大震災後、同地区の医療体制が脆弱(ぜいじゃく)となったことが背景にあるとみられ、東京電力福島第1原発事故がコロナ対策にも暗い影を落としている。

 県が6日発表した2次医療圏別の病床使用率は表の通り。相双地区は5日、103・1%に達した。

 門馬和夫南相馬市長は2日の定例記者会見で「市内の感染状況は落ち着いたが、病床は逼迫(ひっぱく)している」と指摘。7月前半に市内で感染が拡大したことに加え、福島、郡山、いわきの3市で徐々に状況が深刻化し、入院患者の受け皿となった。

 「100%超え」はコロナ専用の病床が埋まり、1部屋当たりのベッド数を増やした状態。長距離搬送が困難な場合などに病院の協力を得て行う苦肉の策だ。

 相双地区の病院は大多数が中小規模で、医師不足に長らくあえいできた。原発事故後は浜通り地方唯一の県立病院で感染症指定医療機関も兼ねる大野病院(大熊町、150床)が休止し、医療体制の悪化に拍車を掛けた。

 県はコロナ病床を全体で496床確保。受け入れ医療機関の数は非公表だが、相双地区は「片手で数えられる程度」(県関係者)と他の地区より乏しい。

 県は8日の週にも増床を表明する。ただ、コロナ病床は手厚い対応が不可欠。相双地区は医療人材の有効求人倍率が3・3倍(県平均2・2倍)と人手不足が慢性化しており、同地区では調整難航も予想される。

 相双地区の自治体のコロナ対策責任者は「相双地区で病床をさらに増やすのは無理だろう。宿泊療養施設を増やすしかないが、そのホテルすら地区内は少ない」と指摘。県医師会の八巻秀一事務局次長は「原発事故の影響は大きい。今後の状況次第で、会津地方まで運ばざるを得ないケースも出てくる」と危機感を抱く。

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