爬虫類の人気にょろり 豊かな表情、はまる人続出

松井さんの手に乗るヒョウモントカゲモドキ。おっとりした性格で動きが緩慢だ=山形市の「Cerise」

 独特の外見や動きから敬遠されてきた爬虫(はちゅう)類。近年は巣ごもり需要を追い風に、「手間がかからない」「恐竜みたいで格好いい」とペットに飼う人が増えている。何が愛好家の心を引き付けるのか。8月8日の「爬虫類の日」を前に、魅惑(?)の世界をのぞいた。(生活文化部・江川史織)

触れ合えるカフェ好評 

 「おはよう。元気にしていたかな」。エステサロン「Cerise(スリーズ)」(山形市)のゼネラルマネジャー松井さくらさん(34)は、毎朝出勤すると事務室で飼っている爬虫類たちに声を掛ける。

 幼少期から生き物好きの松井さん。サロンの開店を機に2月、念願のヒョウモントカゲモドキを迎え入れた。しばらく2匹目は飼わないつもりだったが、ペットショップで手のひらに乗せたニシアフリカトカゲモドキが眠る姿に一目ぼれ。6月に仲間入りした。

 朝にケージ内を清掃し、夕方に餌のコオロギを与える以外は、基本的にそのまま。「犬のように散歩に連れて行く必要がなく、鳴き声や臭いもない。手がかからないので仕事に集中できる」と松井さんは言う。

 「人を認識する賢さがあり、表情豊か。目が離れていたり、顔が丸かったり個性があるのが面白いですね」。ケージ近くにスマートフォンと連携できるカメラを設置し、夜間は自宅で行動を観察する溺愛ぶりだ。

 観賞魚や爬虫類を販売する「グッピー園」(山形市)では、新型コロナウイルスの影響で外出自粛が広がった昨年4~7月、爬虫類の売り上げが前年比5割増。売上高全体に占める割合は数%から15%に飛躍した。高橋明社長は「『おうち時間』を楽しむ目的で飼う人が確実に増えている」と手応えを語る。

 「げてもの好きな男性が飼うイメージだったが、最近は若い女性に人気。ヒョウモントカゲモドキは色や模様がさまざまで、もっと欲しくなるようだ」と爬虫類担当の高橋洋専務。次々飼う「爬虫類沼」にはまる傾向があると説明する。常時300種そろえる専門店「爬虫類倶楽部(くらぶ)仙台店」(仙台市若林区)の星亮介店長は「初めに設備を買いそろえれば、飼育代はあまりかからない。繁殖させて自分好みの体色を追求する人も多い」と語る。

 爬虫類人気が高まる中、初心者や家庭の事情で飼えない愛好家に好評なのが、東北唯一の爬虫類カフェ「ジュラの杜」(仙台市宮城野区)だ。店内にはグリーンイグアナや大型カナヘビの水槽を設置。コーヒーを味わいながら爬虫類を鑑賞し、触れ合える。

 仙台市太白区の鹿野小5年佐藤伶夏(れいか)さん(11)は「兄が爬虫類が苦手で飼えないので、間近で見られてうれしい。動きがかわいい」と目を輝かせた。

 恐竜好きという仙台市泉区の工藤翔也(とうや)ちゃん(6)は、体長1メートルのボールパイソンに触れて「気持ち良かった。他の生き物も触りたい」と興味津々。母実史(みちか)さん(29)は「意外と怖くない。小さな種類ならアパートでも飼えそう」と話した。

ヒョウモントカゲモドキを眺めながらくつろぐ佐藤さん=仙台市宮城野区の「ジュラの杜」
スタッフの説明を受けながらボールパイソンと触れ合う工藤さん親子=仙台市宮城野区の「ジュラの杜」

覚悟を持って飼育を

 一見飼いやすそうな爬虫類だが、ふとした隙に逃がしたり、予想以上に成長し野に放したりする人もいる。野生生物の生態系に影響し、人間に危害を及ぼす恐れもあり、飼育には注意と覚悟が求められる。

 横浜市では5月、体長約3・5メートルのアミメニシキヘビの逃走劇が世間を騒がせた。7月には埼玉県川越市で民家から体長約2メートルのグリーンイグアナが脱走し、現在も行方をくらましている。

 「ヘビはケージの扉に隙間があれば頭で開けられるし、トカゲは尻尾で立つと意外と背が高く、よじ上ってしまいます」。こう語るのは郡山市の専門店「kenny(ケニー)」の豊岡友香里店長だ。動きがゆっくりなイメージのカメも、甲羅干しの最中に見失うことが多いという。「外に逃げたらどこにいるか見当がつかない。甘く見ないことが大切です」

 業界関係者によると、爬虫類を拾っても設備がない保健所では引き取れない場合もあり、拾得者の「駆け込み寺」と化しているペットショップもあるという。2019年6月の改正動物愛護管理法で動物の虐待・遺棄が厳罰化され、引っ越しや大型化で面倒を見られなくなった人が託す事例も多い。

 生態系を破壊すると懸念されるのが、縁日などで売られていた外来種ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)だ。500円玉大から全長30センチに成長し、飼いきれなくなる人が続出。捨てられた個体が繁殖し、在来のカメや魚類、甲殻類を脅かしている。

 仙台市八木山動物公園(太白区)の橋本渉飼育展示課長は「ミドリガメは雑食性で適応能力が高い。子どもが興味本位で手を出してかまれることもある。生態系への影響は地球規模の問題だ」と警鐘を鳴らす。

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