<手腕点検>色麻町・早坂利悦町長 公約の企業誘致実現 定住策の具体化は急務

 東日本大震災から10年がたった今年、地方自治の現場は新型コロナウイルス感染症との闘いに引き続き追われた。少子高齢化や人口減少、地域経済の疲弊も深刻化。難局のかじ取りを担う市町村長は地域の負託に応えているか。住民や関係者の声を交えて検証する。

夏の交通安全キャンペーンで安全運転を呼び掛ける早坂町長=3日、色麻町

 色麻町の大原工業団地に6月、パックご飯製造「JA全農ラドファ」(加美町)の新工場進出が決まった。公約の筆頭に掲げた企業誘致が実現し、早坂利悦町長(72)は「若者が町に住み続けるため、雇用確保は最優先だ」。さらなる誘致を目指す。

 町は従来、工業団地が売れないリスクを回避するため、企業が進出を希望してから造成する手法を原則としていた。早坂町長は「企業の事業展開の早さを考え、リスクがあっても造成する」と方針転換。自らも農協関係者にトップセールスを続けた成果が実った。

 早坂町長は農業に従事しながら、26歳で当時の色麻村議に初当選。その後町議として母校小牛田農林高の卒業生や青年団で人脈を広げ、政治家のキャリアを積んだ。2015年、2度目の挑戦で町長に就任した。

 20年11月の県市町村長会議では、東北電力女川原発(女川町、石巻市)再稼働に「基本的には反対だ。福島原発事故で県内は放射性廃棄物処理に苦慮している。宮城県も再生可能エネルギーにかじを切るべきだ」と発言。地域に根差す政治家として存在感を示した。

 一方で2番目の公約、認定こども園整備は遅れが目立つ。老朽化が進む幼稚園と保育所を民営民設で集約する計画で、場所は愛宕山地区を選んだ。「冬は路面凍結し、送迎が不便」と町議会で批判が続出、町民からも反発が相次いだ。

 町長初当選時から応援する議会重鎮の山田康雄町議(74)も「認定こども園は説明不足だった。議会にもっと相談してほしい」と言う。町は候補地を清水地区に変更、開園は2年遅れの24年度になる見込みだ。

 目下の課題は、公約の3番目に掲げた定住促進策の具体化。若年層向けの分譲地整備などを予定するが、町の貯金に当たる財政調整基金は16年度末の12億円台から20年度末の7億円弱に減った。財政健全化の途上にあり、施策の自由度は限られている。

 相原和洋町議(52)は町長のビジョンが見えないと指摘。「財政が厳しい中でも、自ら情報を集めて効果的施策を打ち出すべきだ」と注文する。

 人口6578の色麻町。新型コロナウイルスのワクチン接種は加美郡医師会と連携し、16歳以上の希望者の接種を早々と11日に終え、小規模自治体の機動力の良さを示した。

 「トップダウンとボトムアップの中間」(町幹部)。こう評される早坂町政は今月、2期目の折り返しを迎えた。定住促進策の強化に向け、職員提案を採用して地域おこし協力隊員の募集を始める。職員や民間のアイデアを生かし、小さくても魅力あるまちづくりを見たい。
(加美支局・阿部信男)

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