<仙台いやすこ歩き>(146)スパイス自販機/おうちで本格派カレー

 日陰を求めながらたどり着いた目的地は、宮町通を曲がったところ。ことの始まりは画伯のメールだ。「スパイスの自動販売機があって、それを使うと簡単にインドカレーが作れるらしいよ」。もう頭の中が100パーセント、スパイスカレーになってしまったのだ。

 自販機があるのは「SANTA(サンタ)宮町店」(仙台市青葉区)の店頭で、まずスパイス自販機の誕生について、インドカレーSANTA代表の槻田繁樹さん(49)からお話を伺うことに。

 SANTAは6、7年前に前オーナーとネパール人が始めたお店で、4年前に経営譲渡を受けたのが槻田さん。「元々インドカレーに興味があったわけではなく、インドカレーって何だろう、おいしいなぁから始まったんですよ」と笑う。スパイス一つ一つの効能、その組み合わせでいかようにも広がりを見せるのが楽しいと話す。

 スパイスカレーというとインドしか浮かばなかったが、パキスタン、ネパールなども圏内だそう。シェフのビカス・ミスラさん(37)のお国はネパールだ。何ゆえ自販機かというと、この近辺には留学生が多く、インドショップはあっても、スパイスは500グラム単位でしか売っていないので、小分けにしてあげたいと思っていたところから始まったという。それならたばこの自販機が使えるじゃない、というグッドアドバイスもあり、実現。スタートしたのが1年前で、その後コロナ社会となり、店内飲食が敬遠される中で幅広い人たちに活用されることとなった。

 いやすこも自販機に硬貨を投入。選んだのは「ビカスさんのキーマカレー・スパイスセット」(4人分)と、何とコーラが作れるという「クラフトコーラ・スパイスセット」(5杯分)。レシピを書いたビカスさんが、タンドールという深い窯を用いて炭で焼き上げたナンも購入し、2人はいそいそと画伯のアトリエへ。

 途中で購入したのはひき肉とコーラ用の炭酸のみ。玉ネギとトマトは自家栽培している友人からいただいたものだ。たばこ大の白い箱を開けると、カレーの方はスパイス袋四つに11種のスパイスが入っている。袋には緑、黄、青、赤のシールが貼られ、レシピにはまず、緑の袋のスパイスを炒めるといった説明があって、分かりやすい。

 といいつつも、「あっ、玉ネギを先に炒めちゃった」といった調子のいやすこ料理教室の始まり。それにしてもスパイスの香りがたまらず、作っている最中から体が健康になっていく、そんな気分だ。

 30~40分でスパイスカレー完成。一方、クラフトコーラの方は20分程度。こちらは本当ならひと晩冷蔵庫で寝かせるそうだが、そこはいやすこ、「もう完成だね」のひと言(笑)。

 カレーをひと口。あぁ~スパイシーなのに優しい。「もう少し塩を入れてもよかったかも」と、インドカレーでもひと塩の大切さを知るが、ナンと一緒にいただくとナンの甘みとよく合ってパクパク、パクパク。

 さらにクラフトコーラを飲んで、「あっ、ほんとにコーラ!」と感動。「今日の料理は大成功」と大満足の2人に、オレンジ色の夕日が夏の宵を運んできた。

おぼえがき/モヘンジョダロでも使用

 スパイスは植物の種子や葉、花、つぼみなどから作られ、調理の際の風味や色を出したり、臭みを消したりする作用がある。インドにおいては紀元前3000年ごろから使われていたという説もあり、紀元前2500~1800年にかけて繁栄したとされるモヘンジョダロの遺跡では、スパイスで調理された遺物も発見されている。

 紀元前1200年ごろの古代エジプトに、スリランカ産のシナモンが献上された記録が残っているが、それ以降も貴金属に劣らぬ珍貴なものとされた。中世には香辛料貿易のために喜望峰経由のインド航路も開拓されたほどだ。

 多くのスパイスの原産地であるインドやスリランカでは、厳しい気候の中で家族の体調を整えるため、料理にスパイスは欠かせないものとして使われてきた。

 つまり、スパイスそのものが薬で、それが中国に渡って漢方薬となった。「医食同源」も、元々はインドやスリランカのスパイスを使った家庭料理が源と言われる。

 土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。

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仙台いやすこ歩き

土地にはその土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター・みうらうみさんとイラストレーター・本郷けい子さんが仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。

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