河北抄(8/19):「それはもう、沿岸から多くの依頼がござい…

 「それはもう、沿岸から多くの依頼がございました」。私用で訪れた仙台近郊のペット火葬場。女性スタッフと東日本大震災時の話になった。多くが犬の飼い主だったという。「猫と違って犬はつながれておりましたから」。女性の言葉に含みを感じつつ会話を閉じた。

 身動きが取れないから危機を避けられなかった。そして、流されなかったから弔うことができたということなのだろう。飼い主も巨大津波を予想できなかったに違いない。つないでいたのはロープか鎖か。不運の絆が最後に与えてくれたのが見送りの機会だった。

 環境省が把握できたペットの犠牲は犬だけで岩手県602匹、福島県約2500匹。宮城県内も相当数に上るであろうことは想像に難くない。

 震災から11回目のお盆が過ぎた。旅立ったペットの魂は飼い主と再会を果たすことができただろうか。だんらんを遠巻きに眺め、しょんぼりと帰途に就いたことだろう。その後ろ姿に声を掛けたくなる。「また来年。思い出の絆をたどって戻っておいで」

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