河北抄(8/21):引っ越し業者の小ぶりなトラックが無事出発…

 引っ越し業者の小ぶりなトラックが無事出発するのを見届けて、マイカーのハンドルを握った。目指すは赴任先の気仙沼。仙台から東北道で一関まで北上し、国道284号を東へと向かった。

 カーブが連続する岩手と宮城の県境付近を縫うように走るうち、日没が迫った峠道で雪が舞い始めた。初の転勤、そして初の1人暮らし。車内で不安に押しつぶれそうになった約30年前が懐かしい。

 三角定規に例えるなら距離の長い直角の両辺をわざわざ通るコースか。それでも東北道の分だけ信号がある45号より時間距離が短く、休憩も含めて少なくとも片道2時間半は覚悟する習慣になった。

 遅ればせながら先月下旬、初めて三陸沿岸道を使って気仙沼方面まで足を延ばしてみた。被災前の志津川や小泉、津谷の記憶をたどりながらドライブしていると、たった2時間弱で気仙沼に至った。

 想像をはるかに上回る快適さ、というかあっけなさに驚きつつ「斜辺」の威力を改めて実感した。かつて市民が自嘲気味に古里を表現した「陸の孤島」のフレーズも今やすっかり過去の遺物らしい。

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